SNS時代の宣伝必勝パターンは「巨大化」だ!…映えてバズる限定巨大グッズに業界熱視線
雪印メグミルクの6Pチーズにマルタイの棒ラーメン、チロルチョコ、さらには御座候まで…。誰もが一度は目にしたことがある定番の食品を、パッケージのデザインなどはそのままに巨大化させた楽しいグッズが最近、キャンペーンの景品として相次いで登場している。その多くはクッションだが、中には枕や寝袋、リュックといった“変化球”も。それにしても、各メーカーは数多ある戦略の中で、なぜ「商品を大きくすること」を選んだのだろう。Twitterなどで話題になった社を中心に訊ねてみた。「どうしてそんなに大きくなっちゃったんですか?」
■目指せ「SNS映え」
まずは現在もキャンペーン真っ最中(2020年1月末まで)の6Pチーズ。青、白、赤のパッケージデザインで知られる定番チーズは今、10秒チンするだけで簡単にできる新しい食べ方「とろッピ~」を提案中だ。その一環で、「心も体もとろける大きな『とろッピ~』クッション」を抽選で300人にプレゼントするという。
「近年の流れであるSNS映えなどのインパクトを重視しました」と担当者。「クッションのやわらかさから、通常のチーズとは違う“とろッピ~”のやわらかさを想起していただけるように考えています。でも…本当に大きいですよね。どうしてここまで大きいんでしょうか」と心の声を多少漏らしつつ、企画意図を教えてくれた。
マルタイの棒ラーメンは、全長180cmの巨大枕に。発売60周年を記念したグッズで、同社は「お客さまへの感謝の気持ちやマルタイラーメンへの愛が溢れすぎて、棒ラーメンの約10倍の大きさになってしまいました」と説明する。昨年はお笑い芸人の波田陽区さんを起用した消費者キャンペーンを実施したが、今回(11月末まで)は応募数がその1.6倍になるなど「特大枕のおかげか、好評です」とのこと。「プレゼントを通じて『感謝を伝えたい』のはもちろんですが、これからもお客さまに寄り添いたいと思っています」
■相次ぐリツイート、増えるフォロワー
不思議な食感で人気のなとりの「濃厚チーズ」は10月、Twitterで巨大クッションのプレゼント企画を行った。やはり「インパクトのあるグッズでの話題づくりを狙ったため」といい、「過去のキャンペーンよりも多くのRTをいただき、新規のフォロワーさまも増えました。何より、『身長と同じくらい』『チーズに包まれたい』などの好意的なコメントも多く頂戴しました」とする。
同じく10月から11月上旬にかけては、チロルチョコも定番商品「コーヒーヌガー」型の巨大クッションが当たるキャンペーンを実施。担当者は「話題性を考え、全身を包み込んでくれるチロルチョコの約10万倍サイズ(!)にしました」と話す。なとり同様、Twitterでは多くの新規フォロワー獲得につながったという。
■「商品のコアファンにも喜んでもらいたい」
カルビーは2年前の2017年、発売25周年を記念した「ピザポテト」の巨大クッションを、翌18年には巨大寝袋を世に放ち、世間をあっと言わせた。担当者は「SNSなどに投稿していただいて話題化しやすいこと、そして商品の特徴を捉えて巨大化することでコアファンの方々にも喜んでいただけるのではないかという期待がありました」と明かす。
実はカルビー、17年には「じゃがりこたらこバター」、18年には「じゃがりこじゃがバター」の巨大リュックも作っている。キャンペーン開始時からインパクトのある画像が拡散され、テレビ番組や著名人にも取り上げられるなど、大きな反響を呼んだという。
■若い世代への訴求に手応え
企画したどの社にも共通するのが、「見た目のインパクト」「話題性」といったあたり。さらに、近年の特徴としてはやはり「SNSでの拡散」に対する期待がかなり大きいようだ。
全国では今川焼き、回転焼きなどとも呼ばれる姫路市の「御座候」も今年、創業70周年のキャンペーンで御座候を約10倍の大きさにした巨大クッションで注目された。担当者は「Twitterなどでの反響が思った以上にすごかった。若い世代にまで訴求したという手応えを感じました」と振り返る。
大きいことはいいことだ。さあ次はどんな巨大グッズが私たちを楽しませてくれるのだろう。
(まいどなニュース・黒川 裕生)