えっ、豪華外国客船に「大浴場」!?…「ダイヤモンド・プリンセス」が人気の理由

 遥かな水平線に沈む夕日に、豪華な食事、ショーやカジノ…。いつかはあこがれの船旅に…と思う方も少なくないのでは。近年は日本を発着する外国客船のクルーズも増加。インターナショナルな雰囲気を味わえるとして人気が高まる一方で、公用語の英語や海外流のサービスに戸惑う人も。そんな中、高いリピート率を誇っているのが米国のプリンセス・クルーズ社が運航する「ダイヤモンド・プリンセス」(11万6千トン)。その人気のワケは、親しみやすい価格設定などに加え、随所に散りばめられた「日本らしさ」にもあるようです。

 ダイヤモンド・プリンセスは三菱重工長崎造船所で建造され、2014年に全面改装。外国客船による日本発着クルーズの先駆け的存在です。今回は大阪港に寄港しているところを見学させてもらいました。

 セキュリティチェックを受けたら、船内へ。まるでホテルのようなエレベーターに乗って最上に降り立つと、そこには広いプールが広がっています。頭上にはスクリーンがあり、星空の下で映画が楽しめるそうです。

 このダイヤモンド・プリンセスならではの魅力の一つが、「泉の湯」という大浴場(有料)。折り鶴が迎えてくれます。日本以外の諸外国では、温泉も基本的に水着を着て入るもの。でも、もし許されるなら、すっきり体を洗って、この大海原を見ながらゆったりお風呂に浸かる…なんて、最上の贅沢かも。屋内にある2つの大浴場の入口は、そのたたずまいから「和」の雰囲気。屋外には水着着用の浴槽もあり、さながら「露天風呂」。照明も行灯のようなデザインで、欧米風の船内でこの空間だけ、日本の温泉に来たようです。

 このほか、通常は壁に直接取り付けられていて動かせない客室のシャワーヘッドも、日本の家庭と同じ手で持てて動かせるタイプに。ポットやスリッパも備えられています。

 こうした設備はプリンセス・クルーズが所有する18隻の客船でも唯一とか。「どれも、日本のホテルや旅館では『当たり前』だけど、外国ではあまり見られません。方や、外国客船の魅力は、その国際色。船内も基本的に英語が共通言語ですし、お客様も外国人の方が多い。その国籍もさまざまで、国内クルーズでも外国のような雰囲気が人気なんです」とプリンセス・クルーズの担当者。そうした中でも日本人客が安心して過ごせ、外国人客にも日本文化を満喫してもらえるよう随所に工夫と改善が加えられ、ショーでは落語も演じられるそうです。「温泉」に興味があっても入り方が分からない外国人旅行客が、大浴場で“予習”をしてから寄港地の温泉を訪れるケースもあるのだとか。

 「最近では、飛行機で来日して、その後クルーズ船で国内を巡ったり、台湾や韓国に移動したりする外国人観光客の方も増えています」とも。確かに、移動するには時間もお金もかかるし、調べるのも大変だけれど、船なら食事をしたり、ショーを見たりしているうちに着くのだから体もしんどくありません。リピーター率も6割近くに上るそうです。

 となると、最後はお値段。実際、同社の2017年の調査では「クルーズ旅行にお金を払って行きたい」と答えた人は全体の36%。「費用が高そう」「お金がかかりそう」「日程が長そう」などの理由で拒否感も強かったといいます。担当者は「船内での食事はアルコールやスペシャリティ・レストランを利用する場合などを除いて、基本的に無料ですし、交通費と食費と宿泊費と遊興費込みだと思って頂けたら…。早期予約割引などもあるので、1泊1万円台のプランや4泊5日など短いクルーズもあるんです」とも。大きな荷物を抱えて移動する必要がないので、最近は子連れや三世代の客も目立ち、船内にも子ども向けのアクティビティが用意されているそうです。…と聞けば、船旅も少し身近な気がしてきたような。ああ、願いがかなうなら、いつかこんな船に乗って行ってみたいな、よその国!

(まいどなニュース・広畑 千春)

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