「桜を見る会」を廃止し、その予算を「子ども食堂」に 夜回り先生から安倍首相にお願い
「少数異見=20=」
「桜を見る会」の問題が11月からこの年末にかけて連日報じられている。教育家の水谷修氏は「安倍首相へお願いです」として、同会を廃止することで、その分の予算や食事を、家庭で食事をとれない子供たちを対象とした「子ども食堂」に提供してほしいと訴えた。
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国会で、首相主催の「桜を見る会」が問題になっています。本来、「桜を見る会」は、「各界において功績、功労のあった方々を招き日頃の労苦を慰労するため」に行われる内閣の公的行事です。しかし、そこに首相、首相夫人以下、政治家たちの推薦による多数のその支持者の人たちや、一部の報道によれば、国や国民に対して功労どころか害悪を流している反社会的勢力の人たちも参加していたとのことです。
また、この「桜の会」には、2018年度は、予算の3倍5200万円が、私たち国民が払った税金から支出され、2019年度は、さらに多かったと報道されています。税金の首相たちによる私的利用と糾弾されることも当然です。
現在、日本では、7人に1人の子どもたちが、三食の温かい食事を取ることができず、また家庭の貧困によってその進路を変えなくてはならない状況になっています。私や仲間たちは、数年前から、全国で「子ども食堂」を開設し、まずは、子どもたちの命の元となる食事を、提供し続けてきました。ほとんどの「子ども食堂」では、子どもたちはだれでも無料。親や地域の高齢者の人たちは、場所によりますが、200円程度の実費をいただき運営しています。
現在、通年で定期的に食事を提供できる「子ども食堂」は、全国約4000カ所まで増えました。また、小中学生にとって、給食がなく、いちばんつらい夏休みを中心とする学校の休業期間には、さらに多くの「子ども食堂」が全国で活動しています。この夏休みには、1万カ所で、子どもたちの命を守りました。
しかも、「子ども食堂」に対して公的支援はほぼ無く、あったとしても公民館等使用料や光熱費の無償提供程度です。人件費は、ボランティアが動きますから無償ですが、米や食材については、多くの人たちや地域の企業、商店からの寄付で、何とか運営しています。一食にかかる経費は、100円程度です。しかも、そこで提供できる食事は、「桜を見る会」で出されたような豪華なものではありません。カレーやシチュー、牛丼や親子丼など限られたものしか出すことができません。それでも、子どもたちは、大喜びで食べてくれます。その笑顔が、私たち関係者の一番の喜びです。
安倍首相にお願いです。本当は、全国のきちんと食事を取ることのできない子どもたちを「桜を見る会」に招いて欲しいのですが、それが無理なことは承知しています。それなら、「桜を見る会」を廃止し、その予算を、全国の「子ども食堂」に提供していただきたい。あるいは、みなさんが美しい桜の花の下で楽しんだそれこそ私たち庶民では見たこともないような豪華な食事を、毎年数十カ所ずつでもいいので、全国の「子ども食堂」に提供していただきたい。それを見たときの、それを味わったときの子どもたちのとびっきりの笑顔。それこそ、明日の日本を作る大きな力となります。