元旦休業の一般化とコンビニの単品おせち人気で…この新年は「おせち回帰元年」に 渡辺広明氏が解説
流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」。今回のテーマは「元旦休業とおせち」。充実するコンビニの「単品おせち」などを通して、昭和に回帰する傾向にある令和の正月風景を解説した。
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今年に入り小売・飲食業の人手不足は深刻で、都内のファミレスに行くと、「こちらが思わず手伝いをしたくなる」ような惨状をチラホラと見かけるようになりました。
特に年末年始は人手不足が加速し、ロイヤルHDは大みそかと元旦、すかいらーくHDも約8割の店舗で31日の夕方から1月1日の正午までと両社とも8割以上の店舗で休業となり、外食では大手を中心に年末年始に休業が一般化していきそうです。コンビニも北海道のセイコーマートが先行し、大手コンビニも一部店舗で元旦休業となりそうです。
平成の30年間は年を追うごとに年末年始も平日と同じように店舗が運営され、特別な日という感覚がなくなっていった時代でした。
おせち料理はそんな時代背景の中、形骸化しつつありましたが、元旦休業が一般化していく中で、この新年は「おせち回帰元年」になりそうです。
ただし社会環境も変わり、三が日に家族が集まってワイワイみんなで箸を運ぶような重箱に入ったおせちから、増え続ける単身世帯や高齢者を中心とする2人世帯をターゲットとした、「単品おせち」に人気がシフトつつあります。
ローソンストア100の単品おせちは32種類を展開。元旦はお酒を飲む日ということもあり、「おつまみ系おせち」の新ジャンルを定着させています。3年前に発売のつぶ貝わさび、ほたてわさび、いか明太、数の子松前が大好評で、今年はワンイや女性にも人気の海鮮サラダも追加して、100円おせち累計で、20%増の約138万個が計画されています。
外食・コンビニを中心とする元旦休業は、少しの不便に国民が慣れていく第一歩となりそうです。昭和の終わり頃までは、年始にはほとんどの店舗が閉まっていたので、ダイエーやイオンなどのスーパーの大みそかは祭りのように人が集まり、コンビニの元旦は通常の2倍以上の売上があり、活気に溢れました。おせち回帰も含め、昭和の時代のメリハリのある日本文化が復活するのは少しうれしい気もします。
◆渡辺広明 マーケティングアナリスト。1967年生まれ、静岡県浜松市出身。コンビニエンスストアの店長、スーパーバイザー、バイヤーとして22年間、メーカーのマーケッターとして7年間従事。現(株)やらまいかマーケティング代表。商品開発700品の経験を活かし、顧問、講演、バラエティから報道までのメディア出演と幅広く活動。フジテレビ「Live News a」のレギュラーコメンテーター。