捜査のIT化で犯行の「前足と後足」特定、ドンファン不審死事件の進展は?
2020年の犯罪捜査はどのようになるのだろうか。さまざまな未解決事件を抱えている中、今年、大きな事件を解明することはできるか。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は7日、当サイトの取材に対し、警察捜査のさらなる「I T化」が進むと指摘した。
小川氏は「2018年から19年にかけて警察の捜査は急加速でIT化してきています。かつての足で稼ぐ捜査から、デジタル化している流れにある。警視庁のSSBC(捜査支援分析センター)がまさにそうです。犯行の前足(まえあし)と後足(あとあし)を、防犯カメラの画像解析と分析によって解明し、容疑者を特定できるようになった」と解説した。
「前足」とは容疑者の犯行前の行動、「後足」とは犯行後の行動を指す。SSBCは2009年に警視庁刑事部に設置され、防犯カメラの画像解析や電子機器の解析、その手口から犯人像を分析するプロファイリングなどを行う。18年の渋谷ハロウィーン暴動事件で複数の容疑者を割り出すなど、近年、脚光を浴びている。
小川氏は「今後は顔認証システムやビッグデータを使ったAI(人工知能)捜査も進むでしょう。さらに、混合DNAの解析等々、科学捜査などもはるかに進歩しています。これまでの未解決事件の解決も十分にあると考えられる」と予測した。
そうした未解決事件の中で、記憶に新しいものが18年5月に発生した、“紀州のドンファン”こと、和歌山県田辺市の資産家で酒類販売会社社長、野崎幸助さん(享年77)の不審死事件であろう。
小川氏は「今年5月でちょうど2年になりますが、捜査が手詰まり状態であることは否めない。ただ、これだけ大きく話題になった事件なので、このまま放置はできない。警察は関係者や周辺から事情を聴きながら捜査を続けています。大きく報道されたということでいえば『平成最後の未解決事件』といってもいい。果たして、2020年に急展開するかどうか、注目されます」と付け加えた。