多頭飼育崩壊寸前の人が手放した2匹の子猫 "養母猫”からたっぷり愛情を受け育つ
外猫のシロちゃんを飼い猫にした清水さん。シロちゃんの孫猫2匹と合わせて3匹の猫を飼っていた。しかし、孫猫が早くに亡くなり、シロちゃんが1匹になってしまった。なんとなく寂しそうに見えたので、清水さんは2匹の保護猫を飼うことにした。
■猫のために猫を飼う
広島県に住む清水さんが保護猫を飼い始めるきっかけになった白猫のシロちゃん。1歳くらいの時に子猫を産んで、その子猫が産んだ2匹の孫猫と3匹で暮らしていたが、2匹の孫猫は2歳半で腎臓病を患い亡くなってしまった。たった1匹になったシロちゃんが、そこはかとなく寂しそうだったので、清水さんは新たに猫を迎えることにした。
2006年5月、リビング広島というポスティングして配布される新聞に「子猫いりませんか」という投稿が掲載されていた。毛色や顔立ちは気にしなかったが、男の子の孫猫が早くに亡くなったので、女の子の猫を希望した。女の子のほうが元気なように思えたという。
5月29日、2匹の猫を飼い主さんが清水さんのところまで持ってきてくれた。その人は、猫を保護しているうちに家の中が猫だらけになってしまい、さらに猫を捨てに来る人もいるため困っているようだった。
■母猫のようなシロちゃん
2匹の猫は生後3カ月前後、体重600gくらいだった。姉妹ではない。清水さんは、三毛猫をチャコちゃん、キジシロをゴマちゃんと名付けた。
ノミがついていて、回虫もいた。ワクチンも接種しておらず、多頭飼育崩壊しているような状況をうかがわせた。シロちゃんとは隔離して、まずは動物病院で処置をしてもらった。
獣医さんからシロちゃんと会わせていいと言われたので会わせてみると、シロちゃんはすんなり2匹を受け入れてくれた。シャーともフーなどと言って、威嚇することもなかった。
シロちゃんは、一度出産をしているからなのか母性愛にあふれていた。
「すぐに仲良くなって良かったなと思いました。小さな2匹の子猫をグルーミングして、お母さん猫の役をしてくれたんです。子猫のほうもシロに寄り添い、頼っているように見えました」
■安住の地で
チャコちゃんとゴマちゃんは姉妹ではないが、月齢が同じくらいだったのでよく遊んだ。寝る時はシロちゃんにくっついて寝た。
他の猫に会うことがないので、競争意識もなく、おっとりしているという。
「家の中が自分たちの縄張りなんで、なんら気を遣うこともなく、行きたいところに行き、寝たいところで寝ていました」
チャコちゃんは、顔は三毛猫だが、背中のあたりはサビ猫のような柄になっている。清水さんは、その柄がかっこいいと思った。ゴマちゃんは、「こんな可愛い猫は見たことがない」というくらいかわいい猫だった。甘えん坊で、13歳になっても親指を口元に持って行くと甘噛みをする。