ニホンザルがアメリカで「♪いい湯だな」 動物園が「浴槽」「岩盤浴」「ジャグジー」まで用意
長野県・地獄谷には国内外から「温泉につかっている野生の猿を見たい」と多くの観光客が訪れる。雪の露天風呂にうっとりと浸かる表情を見せているのはニホンザル。海外でも人気で、別名スノーモンキーと呼ばれている。人以外の霊長類では最も北に生息している。
そんなスノーモンキー目当てに、筆者は米国・デトロイト動物園へ足を運んだ。日本でいえば北海道の室蘭市や苫小牧市とほぼ同じ緯度にある。当日は晴れていたが、最高気温はマイナス5度。このような気候条件を活かすため、同園では、ホッキョクグマの見せ方に力を入れている。二頭のホッキョクグマは雪の上に気持ちよさそうに寝そべり、坂になっているところで腹ばいになって雪の上を滑り落ちるのを楽しんでいた。
そして本命のニホンザル。デトロイト動物園には、残念ながら温泉はないのだが、ニホンザルが飼育されているエリアには温かいお湯の入った浴槽が設けられている。ニホンザルについて解説する掲示板にも雪のなか温泉に入る写真が使われていて、お湯に入ることも説明されていた。この日、筆者が眺めていた時間には、ニホンザルたちはお湯の中には入らず、お風呂場周辺の岩に寝転んで「岩盤浴」するニホンザルが数匹いた。温かいお湯が追い炊きされている浴槽周辺は、他のところに比べて温かいので、気持ちよさそうである。
動物園の飼育員さんによると「ホット・バスに入っていないときもありますが、時々、入っていることもありますよ」とのこと。チンパンジーやゴリラは暖房の入った屋内にいたが、ニホンザルは雪のなかでも木の枝を登ったり、降りたり、ぶらさがったりと元気いっぱい。ニホンザルは日本以外には生息しておらず、海外では動物園でしか見ることはできない。
ニホンザルにいい湯を楽しんでもらい、お客さんにもその姿を見てもらおうとしているのはデトロイト動物園だけではない。シカゴ、ニューヨークなどの動物園のニホンザルのエリアにも温かいお湯が張られている。
2年前にオープンしたサウスダコタ州のグレート・プレインズ動物園ではサルのスペースに「ジャグジー」を設けた。ニホンザルエリアの拡張・増設の費用は一部を税金で補っていることもあり、地元の人からは「自分もジャグジーのパーティーに参加させくれるのなら、税金を使うことに賛成」などという意見がサウスダコタのニュースウェブサイトに書き込まれている。
(まいどなニュース特約・谷口 輝世子)