なんでそんなこと言うの…かわいい我が子に病院の先生がボソッと放ったひとこと
うちの子がまだ1歳だったときに経験した、くやしい話をご紹介します。それは近所の耳鼻科で起きた出来事です。
子どものひどい鼻水と咳がしばらく続いていたため、近所の耳鼻科を受診することになりました。それまでにも何度か行ったことがある耳鼻科で、院長を務める先生は日本を代表する有名大学の医学部を出ている方でした。
もともと病院嫌いだったことに加え、その日は子どもの機嫌が良くなく、病院についたときからグズグズしていました。
「病院いやだ!かえりたい!」
と最初は駄々をこねるていどだったのが、自分の診察が近づいてきたのがわかったのか、だんだんヒートアップしていきます。しまいには大粒の涙を流して、手がつけられない状態に…。
そして、子どもが落ち着く暇もなく、ついに診察の順番がまわってきました。
診察中は、子どもが暴れないように私と看護師さん2人がかりでしっかり子どもの体を固定していました。機械を鼻の穴に入れられ、ズルっと吸われる瞬間、それはそれは辛そうで…。終始、子どもはこの世の終わりかのように泣き叫んでいました。
そして、その状況に耐えきれなくなったのか、先生がボソッとひとこと発しました。
「うるさい子やな…」
一瞬、耳を疑いました。
(ん?今、何て言った?私の聞き間違いかな…)
でも、あとあと考えても、確かに“うるさい”と言っていたのは間違いありません。
うるさかったのは事実ですよ。ワーワーギャーギャーと、耳も防ぎたくなるほどの声だったと思います。
でも、落ち着かせようにも、子どもにとって怖いものは怖いし、嫌なものは嫌です。当時まだ1歳だった子どもに、「静かにしなさい」といったところで素直に応じるはずもないです。何より、私にとってはかわいい子ども。他人に、「うるさい子」と言われた私は、イラっとを通りこして、悔しくて、悲しい気持ちになりました。
それ以来、私はその耳鼻科を利用するのが億劫になり、すっかり足が遠のいてしまいました。
それから数カ月が経った頃、また子どもの鼻と喉の調子が良くなかったため、耳鼻科に行くことになりました。しかし、例の耳鼻科を利用するのはどうしても嫌だったため、自宅から自転車で通える別の耳鼻科を受診することに。
はじめて行く病院ということで、私も子どもも少し緊張していました。でも、その緊張感は一瞬で和らぐことになります。
院内に入った瞬間、明るい照明と元気な看護師さんたちに迎えられます。やさしい声で子どもの目を見て挨拶してくださったことで、子どももにっこり表情に。待ち時間は10分ほどありましたが、子どもは待合室にあったキッズスペースで楽しそうに遊んでいました。
名前を呼ばれ、診察室に入る瞬間は少しだけ緊張が戻っていましたが、先生の対応でまた和らぎます。
先生は第一声から子どものことをほめてくれました。
「今日はよく来てくれたね!」
子どもはよくわからないけどほめられたことがうれしいようで、うんっと首を縦に振ります。
「よ~し、じゃあちょっとだけお口とお鼻みせてくれるかな?」
子どもとコミュニケーションをとりながら進めてくれる診察に、私も安心しながらお任せすることができました。おかげで、前回のように子どもの体をガッチリ固定して…というようなこともなく、気づけば診察は終了。
なんなんだ、この対応の違いは!
子どもの鼻はもちろんスッキリしたし、私の心もスッキリ!
あのときは、本当にくやしい思いをしましたが、素敵な病院に出会うことができ、今は安心して子どもを診てもらうことができています。
後日談ですが、私が嫌な思いをした耳鼻科は、あの出来事から約2年後に閉院していました。理由は分かりませんが…。
(まいどなニュース特約・島田 志麻)