ネズミなのになぜカピバラばかり愛されるのか…ネズミ界の“不条理”に挑む「サミット」が開かれた!

 ネズミなのにヌボ~っとしていて、ネズミなのに愛される「カピバラ」。近年人気もうなぎ上りですが「なんでカピバラばっかりなん?」とほかのネズミから苦情でもあったのか、子年を機にしっかり議論してみようと、「G4 KOBEカピバラサミット」がこのほど、神戸市立王子動物園で初めて開かれました。毎日間近で接している飼育員が愛されるネズミ、愛されないネズミについて白熱の議論が交わされました。

 カピバラは南米の熱帯雨林に生息する現生最大のネズミ。サミットのタイトルの「G4」は「齧歯(げっし)類」をかけて「ゲッシー」と読むのだとか。王子動物園、神戸市立須磨海浜水族園(スマスイ)、神戸どうぶつ王国、愛好家らでつくる「どうぶつ科学クラブKOBE」の4者が企画。どうぶつ科学コミュニケーターの大渕さんを議長役に、1・5倍もの倍率を突破した参加者約200人が、各施設に暮らすカピバラたちの意外な姿の紹介などを堪能しました。

 最大の議題は「ネズミなのにカピバラばかりが愛されるのはなぜ?」。理由を探ろうと、カピバラ飼育員たちが好きなネズミ、嫌いなネズミを本音トーク。嫌いなのは「ドブネズミ(子どもの頃、屋根裏に棲み着いて寝られず、思い出の品をかじられた)」「ヌートリア(顔立ちはいいけど不衛生)」。一方、体毛がなくシワシワな外見の「ハダカデバネズミ」は「初めて見たときの衝撃が忘れられない」「肌見えがちょっと…」と嫌い派もいれば、「その見た目とコミカルな動きが見ていて楽しい」と好き派に入れる人も。

 ネズミといえば長い尻尾のあるイメージですが、これについても「長くて毛のない尻尾はミミズみたい」「横縞がある感じが気持ち悪い」という一方で「モルモットの尻尾のないお尻やハムスターのちょこんとある尻尾はかわいい」との意見に、想像するだけで和む参加者。どうも、ネズミの好き嫌いの分かれ目は、尻尾の有無と、その尻尾に毛が生えているかどうか、ということで「尻尾がカギ」との結論に行き着きました。

 カピバラにはその尻尾自体がないワケですから、ただ存在するだけで愛される…当然です。もしカピバラに「毛が生えていない長~い尻尾」があったら…世界は変わっていたかもしれません。

 さらに会場では、5分も水中に潜っていられるカピバラに挑戦すべく、参加者による息止め対決「カピバラチャレンジ」が。また、カピバラは歯が伸び続けるので常に物をかじる必要があり、王子動物園ではキリンが葉を食べた残りの木の枝を短く切って与えているそうです。うーん、虫歯になっても平気なのはうらやましいけど、それはそれで大変なような…。参加者もカピバラ愛が募り過ぎてクイズ大会は正解者が続出。標本の並んだステージは閉会後もバーゲン会場のような熱気に包まれました。

 そんな方々に今さらですがカピバラ愛のワケを質問したところ…「やっぱり、癒し。顔も、フォルムも」と、うっちーさんご夫婦。「ぼーっとしていて、おじさんみたい。疲れていても元気になれる」と語るアヤノさんは、ツイッター上のカピバラサークル「鬼天竺会」(@oni_tenjikukai)会長。うずりんさんは、「のんびり見えて闘争心がすごい。急に素早い動きをする」と意外な姿にもひかれるそう。なるほど。このカピバラ沼、知れば知るほど、広く広く、深く深~く、まだまだ奥がありそうです。

(まいどなニュース特約・茶良野 くま子)

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