「ねずみ?いや、たぶん猫」…林で発見された小さな子猫たち 愛護団体勤務者に引き取られ助かる
千葉県に住む桑原さんの友人は、まだ産まれて間もない子猫たちを子供が拾ってきたと桑原さんに相談の電話をかけてきた。動物愛護団体に勤務している桑原さんが子猫たちを預かることになったが、3匹のうち1匹は、ミルクもあまり飲まず弱々しかった。
■産まれたばかりの子猫たち
千葉県に住む桑原さんは、動物愛護団体に勤務している。2018年10月16日の午後、友人から電話がかかってきた。小学生の子供が子猫を拾って持ち帰ったのだという。
「下校途中、林から猫の鳴き声がしたので探してみたところ、まだ産まれたばかりの子猫がいて拾ったというのでどうしようと。そばにお母さん猫の姿はなく、3匹の子猫のうち1匹は、まだ膜の中に半分入っていて、ひも状のものや胎盤がついていました。最後に産まれたようです。友人は看護師なのでグロテスクなものを見ても驚かなかったようですが、まだ猫なのかねずみのような小動物なのか判別できるような状態ではありませんでした。ただ、ミュウミュウ鳴いていたので、たぶん猫だと思ったそうです」
相談を受けた桑原さんは、猫だなということは想像できたが、保護されてから数時間経過していたので、助かるかどうか電話では分からないと思った。
■手のかかる子ほど可愛い
友人は子猫たちを桑原さんの職場の愛護団体まで連れてきてくれた。
「気温が下がってきていたので温かくしてあげてと伝えたら、自分のパーカーの中に子猫を入れて、人の体温で温めてくれていました」
一番小さな子猫は、小さいながらも鳴いて、動いた。試しにミルクを飲ませたらかろうじて飲んだので、桑原さんは「これは助かる!きっと助ける」と思った。
友人はチワワを飼っていて、「猫も可愛いけど犬派だから飼えない」と言った。桑原さんはひとまず猫を預かり、不眠不休で2時間おきにミルクを与え、排泄の介助をした。仕事があるので、日中は別に暮らしている母親に世話を頼み、母親に予定がある時は職場に連れて行って面倒を見た。
一番小さかった胎盤がついていた子猫は、弱々しく、ミルクもあまり飲めなかった。2018年の大みそかに具合が悪くなりぐったりしてしまったので、診察してくれる病院を探して駆け込んだ。動物病院まで片道1時間半、治療費は高額だった。
「その後も心配が絶えず、手のかかる子でした。里親も探しましたが、手がかかった分離れがたくなり、この子はうちで飼いたいなと思いました。兄と妹を離すのはかわいそうでしたが、うちには3匹の先住猫がいたので悩みました。でも、結局、家族会議を開いて3匹とも迎えることにしたんです」
■無事成長、やんちゃっぷりを発揮
3匹の先住猫は、子猫たちをすんなり受け入れてくれた。血液検査が済むまではディープな接触は避け、ダンボールのお家で過ごさせた。血液検査の結果は良好だった。
一番小さかった子はユソンくん、女の子はマリーダちゃん、黒猫の子は流星(りゅうせい)と名付けた。
ユソンくんは、今も3匹のなかで一番小さく、体温調節が苦手。激しく遊ぶと、すぐに疲れて口を開けて呼吸をする。寒いと体温が下がって低体温になりがちで気を抜けなかったが、2019年の大みそかは無事に越せた。だんだん体温調節もできるようになってきた。
3匹とも仲良しで、お互いの姿が見えないと鳴き始める。やんちゃでいたずら好き。マリーダちゃんはジャンプしてドアノブを開けられるので、あちらこちらの部屋を自由に行き来し、流星くんは三角コーナーの生ごみを漁ってネットを食べてしまい、一週間ウンチが出なかったこともある。ユソンくんは、体温調節がうまくできないのが悩みだが、猫の運動会にも参加している。3匹とも桑原さんが「もうお手上げ、参った」と言うくらい元気だという。
桑原さんは、「ペットショップの子達も可愛いですが、殺処分されてしまう犬や猫を家族に迎えることが私たち家族に合っている」と言う。