人懐っこくて活発なボーダーコリーのルルちゃんと、飼い主を亡くしたアメリカンショートヘアの猫、マルちゃんを飼っているコッコさん。マルちゃんを迎えて以来、もう１匹保護猫を飼いたいと思っていた。熊本地震で飼い主を亡くした子猫たちが譲渡会に出るというので会いに行った。

　2015年3月、東京都に住むコッコさんは、高齢者が亡くなって飼えなくなったアメリカンショートヘアの猫、マルちゃんの里親さんになった。一時親戚が引き取っていたのだが、攻撃的だから手放したい、殺処分も考えていると言われた猫だった。マルちゃんの攻撃性は日に日に和らぎ、相変わらず気が強いがコッコさんのところで幸せに暮らしている。

　コッコさんは、もう1匹猫を飼いたいという思いが強くなっていた。飼うなら保護猫を飼おうと思っていた。マルちゃんは確かに気が強く、怒りの閾値が低いため攻撃的な行動に出ることもあったが、コッコさんのところに来てからは、シャーっと威嚇すると、それで終わるようになった。成猫は無理だが、子猫なら一緒に暮らせると思った。

　町内の掲示板に猫の譲渡会のポスターが貼ってあった。ホームページを見ると、熊本地震の直後、飼い主のいない猫を団体が引き取ったのだという。

　16年6月、コッコさんは譲渡会に行ってみた。子猫はたくさんいたが、熊本から来た子猫は、兄弟姉妹の3匹だけだった。女の子を飼いたいと思っていたコッコさん。その子はやせていて、かまきりのような顔をしていた。お腹に回虫がいてひどい下痢をしていたが、コッコさんは、その子を迎えることにした。

　6月21日、子猫がコッコさんのところにやってきた。名前はエルちゃんにした。生後3カ月くらい。キッチンには、犬のルルちゃんも猫のマルちゃんも入れないので、キッチンにケージを設置。初日はタオルでくるんで周りを見えなくした。子猫だったので、怯えることはなかったという。

　先住猫のマルちゃんは興味津々。ちょっと臭いをかいだだけでシャーっと威嚇していた。翌日、遠巻きにっマルちゃんと対面させると、マルちゃんがシャーっと言ったが、引っ掻こうとはしなかった。犬のルルちゃんは、受け入れ態勢万全。よく来たね、臭いをかがせて、遊ぼうと喜んでいた。エルちゃんは、驚いて威嚇していた。

　「エルは天真爛漫で活発な子です。高いところにもぴょんと飛び乗ります。でも、すごくビビりなところもあって、黒くて細長いものが苦手。リモコンや掃除機の柄の部分を外して置いておくと、しきりに戦ったり、尻尾をふくらませたりしています」

　マルちゃんは気が強くて、抱っこをさせてくれないが、エルちゃんは自分から人の布団に入ってきてくれるという。