オーケストラと五輪映像のコラボが涙腺刺激 絶賛開催中「オリンピックコンサート」の魅力とは
今夏の東京オリンピックへの気運を盛り上げ、スポーツの素晴らしさを音と映像で伝える「オリンピックコンサート2020 in大阪」がこのほど、大阪市北区のフェスティバルホールで開かれた。1997年から年1回東京のみで開催されていたが、東京五輪イヤーの今年は全国6都市で7公演を予定。大阪開催は初めてだった。
音と映像がスポーツの魅力、オリンピックの素晴らしさをさらなる高みに導いていく。公演のテーマ「夢に向かって」。オーケストラの響きと名場面の数々。場内は感動のあまり、目頭を熱くする人が続出するほどだった。
曲目は2部構成。オープニングでは前回64年の「オリンピック東京大会ファンファーレ」が高らかに鳴り響く。これに続き、同じく東京大会で使用された古関裕而作曲の「オリンピック・マーチ」が演奏された。日本オリンピック委員会(JOC)が主催し、演奏は大阪フィルハーモニー交響楽団、指揮は斎藤一郎さんが務めた。
中央の大画面には過去のオリンピックの名シーンが流れる。まずは前回の東京大会。マラソン優勝のアベベ・ビキラ(エチオピア)や銅メダルの円谷幸吉、陸上男子百メートルを制したボブ・ヘイズ(米国)らの懐かしい映像。もちろん、女子バレーボールで金メダルを獲得した”東京の魔女”も映し出され、ヴェルディ作曲の歌劇「運命の力」序曲が重みを与える。
次は68年メキシコ大会から2016年リオデジャネイロ大会までのハイライトを一気に。柔道の山下泰裕、女子マラソンの有森裕子、高橋尚子、水泳の北島康介らの感動的なシーンと映画「E.T.」から“地上の冒険”(J・ウィリアムズ)がうまく溶け合う。
さらに、日本史上過去最多メダル41個だったリオ大会限定の場面ではグリンカ作曲の歌劇「ルスランとリュドラ」序曲が雰囲気を盛り上げ、ついこないだのことのように感じさせてくれた。
第2部では陸上男子走り幅跳びのカール・ルイス、マイク・パウエル(ともに米国)など歴代のライバルストーリー特集。日本のレジェンドや今年の東京大会の期待選手、さらに番外編として冬季五輪も取り上げられ、これに運動会などでおなじみのオッフェンバック作曲の喜歌劇「天国と地獄」序曲がうまくマッチ。チャイコフスキー作曲の幻想序曲「ロミオとジュリエット」も感動を演出してくれた。
最後は「オリンピック賛歌」に続き、映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の“愛のテーマ”が演奏され、2時間のプログラムはあっという間に終了した。
司会を務めたのは88年ソウル、92年バルセロナと2大会連続での競泳オリンピアンでもあり、俳優の藤本隆宏さん。演奏の合間にはシンクロナイズドスイミングのバルセロナ大会銅メダリスト・奥野史子さんとフィギュアスケートで2度冬季五輪に出場した本田武史さんがゲストとして登場した。
奥野さんは「(浅田)真央ちゃんの場面は反則です。生のオーケストラと映像がシンクロして涙なしでは見られなかった。過去といま、失敗と成功、ふだん見られない選手が練習する場面がドキュメンタリー風で流れ、心にささりました」と感激の様子だった。
現在、大阪・高槻市に拠点を置いている本田さんは「様々な場面が甦り、オリンピックの歴史を感じられた。競技は一瞬。全力で応援します」とエールを送った。
プレミアムサウンドシリーズはすでに東京、愛知、広島開催も終了。今後は3月1日に仙台銀行ホール、同29日に札幌市の札幌コンサートホールKitara大ホールと続き、4月4日の東京オペラシティがラスト公演となる。チケットはS席5000円、A席3900円、B席2020円(税込)。
(まいどなニュース特約・山本 智行)