700体以上の招き猫がどどんとお出迎え 岡山の人気パワースポットは今も勢力拡大中
岡山市には、招き猫に特化した小さな美術館がある。古今東西の招き猫700点以上を展示する「招き猫美術館」だ。日本が世界に誇る庶民芸術の魅力を発信しようと、1994年10月に開館。猫好きからの人気にとどまらず、今や福を招く全国屈指の“パワースポット”として親しまれ、国内外から多くの人が訪れる観光地になっている。
JR岡山駅周辺の市街地から車で約20分。山道をえっちらおっちら登っていくと、猫を模した可愛いカーブミラーと、味のある古民家風の本館が現れる。館内2階の展示室には、よく見るタイプの招き猫はもちろん、どこかすっとぼけた表情をしたものや、木彫りの巨大なものまで、多種多様な招き猫がずらりと並ぶ。
1階には、猫に願掛けできる「福寿横丁」が。願い事を書いた絵馬風の札と、願いが成就したことを報告する札が大量に飾られている。ミュージアムショップでは、同館オリジナルの招き猫などを販売。運気がアップするという金ピカの俵のオブジェも人気という。
「こんな山の中にありますが、来館者は年々増えています。大半が岡山県外のお客さまで、海外から観光で訪れる人もいらっしゃるんですよ」と学芸員の虫明比斗子(むしあけ・ひとこ)さん。岡山出身の小説家、随筆家の内田百閒は、代表作のひとつ「ノラや」執筆中、いつもここ金山寺の風景を思い浮かべていたというから、猫が結んだ不思議な縁を感じずにはいられない。
別館では、素焼きの招き猫に絵付け体験もできる。取材に訪れた日は、オーストラリアから訪れたファミリーが熱心に作業中で、思い思いの色を塗って楽しんでいる様子だった。
2020年2月22日の「猫の日」には、猫に関する絵本などを集めた「library 山猫文庫」も新しくオープン。猫ブームの波に乗り、招き猫美術館はますますパワーアップしている。一般600円、小中学生300円。水曜休館。
http://manekineko-m.jp/
(まいどなニュース・黒川 裕生)