新型コロナで日本社会は変わる!働き方、家族、住居、娯楽は?課題は?…カリスマ投資家が分析

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、「目に見えない不安」が蔓延している。収束したとしても、「コロナ後の日本社会」はどのように変容していくのだろう。世界中の株式市場が下落する中、今月25日、1 月末まで 0.7%だった現金比率を 30%弱まで高めて注目された「ひふみ投信」を運用するレオス・キャピタルワークスの社長&最高投資責任者の藤野英人氏は当サイトの取材に対し、今回のウイルス禍が「ケガの功名」となって多くの社会変革につながる可能性を指摘した。

 昨年発売の著書「投資家みたいに生きろ」(ダイヤモンド社)で、投資とは未来へのエネルギー投入であると説いた藤野氏。「投資とは未来を信じること。『いろいろあるけど何とかなる』で人類はここまでやって来た。コレラ、ペスト、スペイン風邪がはやり、日本に関しては原子爆弾を落とされ、東日本大震災などもありながら乗り越えて来た。今起きていることには希望的観測を入れず冷静に見るべきだが、もう一つの真逆の視点、最悪なことがあっても最終的には何とかなるさという『健全な楽観』を持つことも大事」。そう語る同氏は「まさに『ケガの功名』だと思うんですよ」と、新型ウイルスによる変革の萌芽を見た。

 同社では17日に「在宅ワークと時差出勤の導入、風邪の症状があった場合は10日間の出社停止とし、有給休暇を出す」と発表。藤野氏は「もともと、リモート(在宅)ワークを推進しようとしてきたが、どこまで規定をつくるかなどの議論でなかなか進まなかった。結果的にコロナウイルスの発生で緊急性が増し、働き方改革を一気に実現し、在宅勤務にシフトできた所はあります。これは他社も同じだと思います」と明かす。

 藤野氏は「五輪による時差通勤も含め、今年が『リモートワーク元年』になると予想していました。さらに『多拠点居住』も。毎日出社する必要がなければ周辺に住む。東京の会社ならば、房総や箱根、甲府など。それが、地方創生の1つの柱になるかもしれません。空気と水のきれいな土地の価値が上がり、混雑した場所の土地の価値が下がるということもあるかもしれません」と予測した。

 さらに同氏は「ズームやスカイプによるテレビ会議でも情報交換には問題がない。できないことは、触ること、臭いをかぐことくらい。会社の人にその必要はない。むしろ、触れ合う相手は家族。これまで触れ合うべき人と過ごす時間が少なくて、触れ合わなくてもいい人たちと多くの時間を過ごしてきた日本の会社形態はそもそもおかしかったんですよね。(在宅勤務で)家族や地域と過ごす時間が増え、人間としてより適正な方に行く。ストレスも減る。そのことを結果的に、コロナが推進した面もある」と指摘した。

 一方、政府のイベント自粛要請によって、現時点で「財政措置」のないまま、中止が余儀なくされ、死活問題になっている業者も少なくない。藤野氏は「ここ1~2週間の間に政府から資金繰りに対する話が出ると私は思っています」と注目発言。その上で「むしろ大きな問題はインバウンドに頼っていた景気がつぶれそうになっていること。インバウンドが戻ると期待して待っていても、外国人が1~2年来ないうちに、目論見が外れてしまう。機敏にビジネス構造を変える必要が出て来る。強い会社が生き残るわけではなく、変化に対応できる会社が生き残る」と語った。

 藤野氏は「スポーツやコンサートに関しては、もともとインバウンドに頼っているわけではないので、2週間でピークが収まったら、慎重にマスク着用や手洗いで再スタートすると思います。ただ、この2週間で感染者が増えてしまったら、考え方を変える必要がある。例えば、会場に観客を入れず、ネット上の集客で利益を出す形のビジネスなどに転換する必要がある。コンサートであれば音響や映像で『ネットでのリアル』を重要視したサービス。野球中継もみんなでチャットできるとか、応援コメントを寄せられる等、新たなものを作れたら生き残れる。それができなければ衰退する。それはどのジャンルでも同じです」と今後を描いた。

(デイリースポーツ・北村 泰介)

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