関西の人気アナが見知らぬオバちゃんから飴ちゃんもらう→美味しさに感動してSNSで紹介したら大反響
電車内で乗客女性から人気アナウンサーに手渡された1粒のあめがツイッター上で盛り上がりをみせています。メーカー担当者が「関西地区からの発注が…」と驚くほどの展開に。一体何が起きているのか追跡してみました。
■舞台は阪急電車
人気アナウンサーとは、大阪の放送局、毎日放送(大阪市北区)の西靖アナウンサー(48)。生放送出演前のわずかな時間、西アナに電話で話を聞きました。
西アナが飴をもらった舞台は、2月のある日、朝10時すぎの阪急電車神戸線の車内。出勤途中だった西アナは、新聞を広げようとした瞬間、肩をポンポンと叩かれました。振り向くと見ず知らずの女性。「いっつもテレビ見てるで!」という応援の声とともに、個包装のあめ2つを手渡されました。ラッシュの時間は過ぎていたものの、他の乗客たちの視線を浴び「とまどいの表情を浮かべていたと思います」。お礼だけ伝え、あめはそっとかばんの中にしまいました。
2週間後。かばんの中のあめの存在を思い出し、口に入れた途端「めちゃくちゃおいしい!」。
車内で起きたうれし恥ずかしエピソードとともに、ツイッターのフォロワーにおいしい感動を伝えました。
<電車のなかで60代と思しき女性から「いっつもテレビ見てるで!」とアメちゃんを渡されました。食べたら肉桂(にっき)味でめちゃくちゃおいしい!><これ、探してみよう>
■あめをくれた方へ「ごめんなさい!」
─電車内で見知らぬ人からあめをもらうことはよくあることなのでしょうか。
「しょっちゅうではないですが、2年に1回ぐらいのペースであります」
ーなかなかのペースですね。あめは好物なんですか?
「喉がガラガラしたときにのどあめを購入する程度で、持ち歩くことはありませんでした」
そんな西アナを、ひと粒の飴の感動が突き動かします。西アナは手始めに、個包装に印字された商品名をインターネットで検索。しかし、取り扱い店の情報はなし。そこで、路線から当たりをつけ、阪急電車沿線にあるスーパーのあめ売り場へ足を運びました。「売ってたらいいなあ」。推測は大当たり。さっそく購入し、再度ツイッターを更新。
<例の飴ちゃん、見つけました!ほんで、どや、美味しいやろ!と社内で配ってたらあっという間になくなってしまいました。「お気に入りの飴は人に渡したくなる」の法則は本当でした>
ーうれしさを同僚にも伝えようと?
「今回はいきさつがいきさつだっただけに、車内でのエピソードを伝えながら配りました。同僚たちと盛り上がり、コミュニケーションになりました。“関西のおばちゃん”があめを配るメンタリティーも実感できました」
ー西アナにあめを渡した女性は、この展開を予想してはいなかったでしょうね。
「『あの時は怪訝な顔をしてごめんなさい! めちゃくちゃおいしかったです!』と伝えたいです」
■“あめちゃんコミュニケーション”とは
西アナのいう“法則”とは、「あめちゃんコミュニケーション」と呼ばれる大阪ならではの文化です。「カンロ飴」や「ノンシュガー果実のど飴」で知られるカンロ(東京都新宿区)のホームページによると、「大阪のおばちゃんがあめを配って周囲の人とコミュニケーションをとることは、『あめちゃんコミュニケーション』と呼ばれています。外出時に持ち歩いているあめを配ることで、あめをコミュニケーションツールとして活用しています」。
■メーカー「知りませんでした」
あめの正体は、昭和3年創業の菓子製造業「宮川製菓」(東京都目黒区)の「飴職人 にっき飴」。製造元では何か変化は起きているのでしょうか。営業責任者に話を聞きました。
ーSNSで御社のあめが話題です。
「えっ、いやぁ、話題になっていることは全く知りませんでした。東京まで届いていませんでした」
ー大阪のアナウンサーがツイッターに投稿しました。
「ありがたいです。若い人は『ニッキってなんぞや?』という方が多いでしょうから、インターネットで話題になることは本当にうれしいです」
ここまで話をしたところで、「そういえば…」。営業責任者は何かを思い出したようでした。
「そういえば今朝、関西地区の小売店さんからの発注数が、急に普段の倍に増えてました」。
“関西のおばちゃん”が巻き起こした、あめちゃんコミュニケーションの影響力、恐るべし!
(まいどなニュース/神戸新聞・金井 かおる)