話題のストローエビ作りに挑戦したら…8分で完成するはずが死骸の山 考案者にコツとおススメ作品を聞いた
手元にストローとはさみ、そして何もすることのない時間があったなら…。ほら、あっという間に本物そっくりのエビが! そんな「ストローエビ」がネット上で話題になっています。それなら…と作り方を調べて作ってみたら…大変な目に。そこで、20年ほど前にこのストローエビを考案した第一人者に、コツとおススメ作品を伝授してもらいました。
ストローエビは「ストローアート」の一つ。はさみだけで手軽に楽しめ、魚釣りでは本物のエビそっくりの動きをするのでルアーとして使われることもあるらしく、TOKIO出演の人気テレビ番組「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ系)に登場したことも。ネットで「ストローエビ 作り方」と検索すれば作り方を説明した動画やサイトがずらっと表示されます。
その一つに「初心者なら8分、慣れてくれば5分」とあったので、軽い気持ちで制作スタート。まず曲がるストローの長い方を3本に切っていくのですが、これが意外に難しい。次に一番細い1本に巻き付けるように太い2本を交互に編んでいきますが、結んでいるうちにクルクルとストローが回転し、全然お手本通りに行きません。
初日は30分でリタイア。二日目も1時間で3匹分がただの塊に。その後、やり始めてはうまく行かず断念…の繰り返しで、ようやく1週間目に完成にこぎつけました。一斉休校とイベント自粛で体力を持て余し気味の子どもも「やりたい!!」と食い付いたものの、細いストローをまっすぐに切るところから大苦戦で、死骸の山ができてしまいました。
でも、きっとコツがあるはず!ということで、ストローアートの第一人者で、NHKEテレのプチプチ・アニメ「ストローびゅるる」の登場キャラクターの作者でもある当銀美奈子さんにお話を聞きました。
-ストローエビはどうやって生まれたのでしょう。
「もともと科学工作や、卵パック工芸などを作っていたんですが、1999年に起きた台湾大地震の被災地で講座を開いた際、現地の『吸管工芸』を見て、自分でも作ってみたのがきっかけです。台湾では手長エビを作るんですが、自分なりにアレンジして、科学の先生からアドバイスを受けて細かい部分を改善していったんです」
-科学的なアドバイスとは。「先生曰く、エビは十脚類という仲間で、脚が10本あるんです。元のは6本だったので、それはおかしいね、と。近所の釣り好きの男性からも『ルアーにしたら』とアイデアを頂きました。その後も『本物はひげがもっと長い』と言われて甘エビを買ってきて研究したり、子どもから『恐竜はできないの?』と求められたりしているうちに、どんどんリアルになり、作品数も増えていったんです」
-今では作家さんも増え、テレビ番組でも紹介されるほど人気になりました。
「『親子でつくるストロー細工-どうぶつたち』という本を出したのが2003年ですから、本当に、ここまで広がって、びっくりです。子どもも大人も、いろんな方がストローアートに興味を持って下さるのはうれしいですね」
-でも、難しいです。コツはありますか?
「昔、記事で『5分』と紹介して頂き、それぐらいで作れるよう必死でした。今は20年近く作ってないから…5分は無理かな(笑)。はさみは先端までよく切れるものを使い、まっすぐに、はさみの先端で切り終わるのがポイント。編んだ部分は緩まないようしっかり押さえてください。キレイに編めると本当のエビのように見えますよ」
-初心者におススメなのは?
「エビは結構、難しいんです。なので子どもだと嫌いになってしまうかも。私が小学3年生向けに出前授業で教えているのは、『ストロー蝶』。これなら3年生でも作れますし、もっと小さい子は羽の部分を描くなどして参加できます。最近はカラフルなストローも増えているので、ぜひ色々挑戦してみてくださいね」
ストロー蝶の作り方は当銀さんのブログ「I Plastic プラスチックの宝もの」で公開中。大阪市立大正図書館では、3月末までストローで作った364輪の花を展示する作品展「364花フェ(カフェ)」が開かれています。家の中でじっとしていると身体だけでなく頭もボーっとしがちですが、この細かい作業は頭の体操になるかも。本もいろいろ出ていますし、目の前にストローがあったならぜひ、チャレンジしてみては?
(まいどなニュース・広畑 千春)
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