二転三転…28万円のコロナ感染補償お花見BBQクルーズ船、大阪市の方針転換で急きょ通常サービスに
新型コロナウイルス感染拡大の余波で大阪の「お花見船クルーズ」がてんやわんやの対応に追われた。天満橋の八軒家浜を発着する「Merry Green(メリーグリーン)」は乗船が原因で新型コロナに感染した場合、感染者1人につき28万円の休業補償をうたっていたが、大阪府・市の方針が変わったためにこのサービスを急きょ中止した。
日本初のグランピング船「メリーグリーン」を運営するのは一般社団法人One Osakaリバークルーズ。八軒家浜から大川をクルージングしながら船上バーベキューができるとして、2018年8月に就航し、すっかり定着してきた。
しかし今年2月、最初の予期せぬ事態に追い込まれた。東京の屋形船で新型コロナウイルスの集団感染が発生したことで、その影響をもろに受ける形になったのだ。2月21日からは、これまでなら当たり前だった不特定多数が乗船する乗合コースを休止。貸切コースのみの運航に切り替えた。
さらに、お花見シーズンを迎えた3月20日からは乗船が原因で新型コロナに感染した場合、感染者1人につき、休業補償として、なんと28万円を支払うという思い切ったサービスの実施に踏み切った。もちろん、運営側の過失により感染した場合に限られるが、この補償サービスは万全の感染症予防策をアピールし、安心してクルーズ船に乗船し、花を愛でてもらうのが狙いだった。
しかし、このプランも27日になって、急転中止することになった。というのも、その前日の26日、大阪市の松井一郎市長が新型コロナウイルスで感染経路の分からない事例が増えているとして、市内での花見について「朝令暮改になるが、自粛をお願いしたい」と、方針転換したからだった。
松井市長は自粛要請の理由として感染経路の分からない事例が増えていることを挙げた。運営担当者はこれを受け「市長が花見を自粛しないと話していたので、それならと始めたサービスでしたが、相談した結果、補償は辞めた方がいいのでは、となった。1日1日の状況変化、市長や行政の発言によって民間企業は対応に追われてます」と話し、通常の貸し切り営業に落ち着いた。
もちろん、運営側はいわゆる“3密”ではない点を強調し、訴えたいポイントとして何より屋外という点をアピール。まず、感染防止策として、利用スペースを1階デッキと2階テラスの屋外だけに限定し、定員も60人から30人に減らし、10人から乗船可能とした。
乗船に際しては検温と手の消毒を実施し、体温が37.5度以上だと乗船できないようにした。また、2時間の周遊中は、スタッフが手すりやトイレなど船内設備をこまめに消毒。BBQはスタッフが食べ物を取り分け、食器は使い捨て容器を使用するという徹底ぶりだ。
(1)空気循環、これ以上できません(外なので)(2)不特定多数の人と会いません(貸切、周りは川なので)(3)生もの出ません(BBQなので)(4)隠れコロナいません(乗船前に体温計るので)
担当者は「お花見の時期が1年で最も気持ちよく船をご利用いただける。4800本の桜が立ち並ぶ大川で、不特定多数の方と交わることなく、BBQをしながらお花見ができる。大阪のお花見スポットの一等地で仲間と楽しい時間をすごしてもらえれば。通常の公園と違い、不特定多数に会わずにスペースを確保できますよ」と話す。
期間は4月12日まで。料金はお花見弁当プランが8500円から。バーベキュープランは9500円からとなっており、どちらも10人以上の利用。雨の場合は2日前まで無料キャンセルできる。
(まいどなニュース特約・山本 智行)
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