映画館に来ないでTシャツ買って!存続に向け関西のミニシアターが共同プロジェクト
新型コロナウイルス感染拡大の影響で危機的状況にある関西のミニシアター13館が、「映画館の灯を守ために力を貸してほしい」と声を上げている。「SAVE OUR LOCAL CINEMAS」と銘打ち、オリジナルTシャツのネット予約販売を開始。多くの俳優や映画監督らも続々と賛意を表明しており、当初の予想を大きく上回る反響を巻き起こしながら、力強い支援の輪が広がっている。
いち早く公演自粛に踏み切った音楽や演劇などをはじめとするエンタメ業界が深刻な打撃を被る中、映画館も「かつて経験したことのない大変な状況」に陥っている。「SAVE OUR LOCAL CINEMAS」の関係者によると、全国の映画館は軒並み観客数が激減。資本力を持たない地方の小さな映画館は、このままでは閉館に追い込まれかねない状況という。さらに、7日に緊急事態宣言が発令されたことで、さらなる影響を受けることは必至だ。
危機感を募らせた京都みなみ会館(京都)、元町映画館(神戸)、シネ・ヌーヴォ(大阪)が中心となり、Tシャツの販売と寄付の呼び掛けを行う「SAVE OUR LOCAL CINEMAS」プロジェクトを考案。京阪神のミニシアター13館が参加し、諸経費を差し引いた売り上げと寄付金の全額を均等に分配する。
3館以外の参加劇場は、神戸映画資料館、出町座、宝塚シネ・ピピア、パルシネマしんこうえん、豊岡劇場、第七藝術劇場、シアターセブン、京都シネマ、福知山シネマ、舞鶴八千代館。いずれも独自のラインナップと個性的なスタッフによって運営されている、地域に根づいた映画館ばかりだ。
専用サイトでは、寄せられた応援コメントも順次掲載。「全国のミニシアターと映画文化を支えるための、あらゆる支援に連帯を表明します」入江悠(映画監督)/「国家は私たちを救わないどころか、救えないとわかった以上、私たちは自身を自身の力で支えるしかない」阪本順治(映画監督)/「映画館のある街のすばらしさは、その街の人にしかわからない。映画館がない街の寂しさは、それを失ってみてからしかわからない」平田オリザ(劇作家・演出家)など、映画と映画館を愛する人たちからの熱い思いが溢れる。Twitterでも、俳優の井浦新さんが「このTシャツを着て関西の劇場に映画を届けに行きたい!」と投稿するなど、注目を集めている。
Tシャツのデザインを担当した京都みなみ会館の吉田由利香館長は「自分の劇場だけでなく、“みんな”で生き残るために始めた取り組みが、たくさんの人に支持していただけたことが嬉しい」と話し、「『映画館に来て』とはとても言えない状況ですが、その代わりに私たちは『Tシャツを買って!』と言います。皆さんの力を貸してください」と力を込める。
注文の受け付けは4月12日(日)まで。Tシャツは1枚3000円(送料無料)。寄付は1口1000円と1万円の2種類。詳しくは「SAVE OUR LOCAL CINEMAS」の専用サイトで。
(まいどなニュース・黒川 裕生)