新型コロナで外出自粛…注目される「持ち帰り外食」や「宅配」 ウーバーイーツで「中食」届ける実験も
流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」の今回は「持ち帰り外食」がテーマ。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛により、これまでの日常生活に大きな変化が生じている今、注目される持ち帰り外食や宅配についてリポートする。
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緊急事態宣言が国から発令され、エリア差はあれど、不要不急の外出をさらに厳しく控える環境となり、外食産業の厳しさが増しています。私もお酒なしでは生きていけないというタイプではありませんが、1カ月ほど夜の会食を自粛して寂しい夜を過ごしています。
そんな中、朗報とも言える「持ち帰り外食」への対応が広がっています。コンビニ約5万8000店舗に対して、飲食などを提供する店は全国に70万店前後あります。「持ち帰り外食」が広がれば中食を買える場所が一挙に増え、消費者の食の品薄の不安が解消されます。また、この機会に持ち帰りにチャレンジする店は新たな収益源ともなります。プロの料理人の出来立ての味が家で楽しめるようになり、家の近くの飲食店で買えるようになれば、外出の範囲も狭まりコロナ収束の一助にもなりそうです。
持ち帰りは消費税が軽減税率で8% 外食は10%になるため、この動きは進んでいくと考えられます。過去から持ち帰りをしているモスバーガーも持ち帰り比率が直近、全体の67%の構成比となり、増税前と比較すると構成比が1.2倍になっています。持ち帰りで時間が経っても美味しさを保ち、ふっくらとやわらかな食感バンズに変更して好評です。
Facebookでは、「#コロナフードアクション コロナに負けるな 飲食店応援ページ」が立ち上がり、SNS上で宅配の後押しをするムーブメントも起こっています。
宅配の新しい取り組みでは、ローソンとウーバーイーツが日用品を含む中食の実験を昨年8月より実施していますが、コンビニのほとんどの商品カテゴリーと一緒に中食を運べるという利点もあり、受付件数が2倍近くとなり、特に冷凍食品が人気となっているようです。
食の物流については、スーパーの野菜果物・肉・魚の生鮮3品の物流網は、毎日納品を基本としているため欠品する可能性は低く、コンビニの持ち帰り弁当や惣菜の生産・物流網も毎日の3回の納品を基本とします。
「コンビニの世界最高峰の中食物流網」があるため安心です。こんな時だからこそ新しい持ち帰りを楽しむのもストレス発散になるかもしれません。
◆渡辺広明 マーケティングアナリスト。1967年生まれ、静岡県浜松市出身。コンビニエンスストアの店長、スーパーバイザー、バイヤーとして22年間、メーカーのマーケッターとして7年間従事。現(株)やらまいかマーケティング代表。商品開発700品の経験を活かし、顧問、講演、バラエティから報道までのメディア出演と幅広く活動。フジテレビ「Live News a」のレギュラーコメンテーター。