京都のローカルコミュニティを救いたい ホテルが「おうちウェア」を販売、利益の50%を支援
新型コロナウイルスによる自粛で、大小問わずあらゆる活動の継続が脅かされている。その中でも、「ローカル」と謳い人が集まる「場所」を提供している企業や店舗は、現状のような「人と会わない」といった制約は命取りとなる。
そんな「ローカルコミュニティ」を救いたい、という思いから、オンラインストアの利益の50%を支援金とする取り組みを行うホテルがある。京都市上京区の「泊まれる雑誌」をコンセプトとしている「MAGASINN KYOTO(マガザンキョウト)」だ。キャンペーンの名は、「Ready for your journey」。
主な支援先は、若手の現代アーティストの作品を多く取り扱う「KAGAN HOTEL(河岸ホテル)」、そしてオープン30周年を迎える老舗クラブの「京都CLUB METRO」。どちらも京都市内にあり、地元アーティストが集まる空間だ。
「MAGASINN」もまた、地元に着眼点をあてている「ローカルコミュニティ」の1つ。京都に関連のあるカルチャーやクリエイターを取り上げ、季節ごとに「特集」として企画を組んでいる。2016年にオープンして以来11回もの特集を催し、クリエイターが集う場として機能を果たしてきた。オンラインストアでも、特集にちなんだものや、京都カルチャーの魅力が打ち出された商品が販売されている。
兵庫県生まれの代表・岩崎達也さんから見た京都の印象について、「伝統とテクノロジー、地元住民と観光客。たくさんの相反するものが混在している。その中でも西陣は、静かで昔からの京都のリアルな生活が残っている場所。とてもおもしろいところだと思います」と語る。
また京都では、芸術に携わる人材を育成する教育機関や、クリエイターの数も多い。彼らが自発的にプロジェクトを行おうとする風土が存在する。
「京都は観光という側面で見ると伝統色は強いですが、若い世代をターゲットにした文化は取り扱われることは多くありません。そんな気づきが、『MAGASINN』オープンへのきっかけになりました」
「ホテル」という形態は、あくまでも人が集まるための手段である、と岩崎さん。「この場所で『特集』を行うことで、クリエイターやそれに興味を持つ人が集まる。そして新たなコミュニティとプロジェクトが生まれる。それが僕の理想形なんです」と話す。しかし新型コロナウイルスにより自粛を強いられている今、人と人がオフラインで密接に関わり合うことは現実的ではない。
「だからこそ、今僕たちはオンラインストアで京都のコミュニティやクリエイターに活躍の機会をつくりたかったんです」
オンラインストアで「Ready for your journey」を開始したところ、売り上げは3~4倍伸び、利用客からは「これらのホテルやライブハウスを支援したいと思っていたが、どうすれば良いのか分からなかった。商品が魅力的で、目に見えて支援できて嬉しい」という声もあるという。
「京都のカルチャーの魅力を伝えるために、MAGASINNを運営しています。今できるのは、オンラインで、その魅力を打ち出す商品を売り、彼らや支援先への経済的なサポートをすること。そんな循環をさらに促進できるよう、『ローカルコミュニティを応援したいけど、どうすればいいのか分からない』という方に利用いただけたらとても嬉しいです」
■MAGASINN KYOTO 京都市上京区中書町685-1
(新型コロナウイルス感染拡大防止のため、店頭営業は休業中)
(まいどなニュース特約・桑田 萌)