新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策として、政府が一律10万円給付を決めたことを受け、さまざまな議論が起きている。「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏は政府の要人や自治体のトップらの発言に違和感を示す一方、経済的に余裕のある人に対しては１０万円の有意義な使い方について提言した。

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　新型コロナウィルスへの緊急経済対策として、全国民に10万円を給付することを政府は決めました。この受け取りについて様々な意見が出ています。

　菅官房長官は、記者会見の中で、記者からの「給付金を申請するのか」という質問に答えて「常識的にはしないと思う」と答えました。このことが、報道される中で多くの批判を受けています。私も問題があると考えています。

　その問題とは、「常識的」ということばにあると考えます。菅氏の中には、給付金を私のような公務員や恵まれた環境にいる人は、申請すべきではないという思いがあるのでしょう。それならば、菅氏のような恵まれた人にまで、給付金を配るという政府の政策は、「非常識」となります。政府の要人が語るべきことばではありません。本来は、「私個人の良識の中で考えます」と答えるべきだったでしょう。

　また、広島県の湯崎知事は、県職員が受け取る給付金を集め、県内の事業者の休業支援などに活用したいという考えを表明しました。これは、完全な間違いです。今回の政府からの給付金の意味をわかっていません。湯崎知事の中には、県職員は、今回の状況の中でも、経済的には、ほとんど影響を受けていない。だから、彼らのもらう給付金は、広島県の困っている人たちのために、また広島県のために使うべきだという考えがあるのでしょう。

　確かに、その思いは理解できますが、これは法的に問題があります。ある意味で、知事によるパワハラでしょう。本当は、「県内の困っている人たちのための基金をとしたいので、県職員は、自主的に協力して欲しい」と言うべきだったでしょう。

　和光市の松本市長は、「10万円、私は申請して、全部地域で消費させていただきます。申請しないと国庫に溶けてしまうだけ。本来、和光市に来ないお金なので、全額きっちりしないで使います。時節柄、飲食店のテイクアウトかなあ」とツイートしました。この発言は、ネットの中で一定の評価を受けているようです。しかし、私は、市長たるものが語るべきでない浅薄な言葉だと考えます。自分の市のことしか考えず、しかも結局は自分のために使う。哀しい人です。

　私から、お願いがあります。今回の感染拡大の中で、収入等に影響が少ないゆとりのある国民の方々にです。ぜひ、給付金10万円を受け取り、それを近くの「子ども食堂」や「児童養護施設」等に寄付していただきたい。もし、寄付先が近くにない場合は、社会福祉協議会に寄付していただきたい。１万人の方々が、寄付していただければ、10億円のお金が、それらの施設に届きます。その善意のお金によって、多くの子どもたちに笑顔が戻ります。