発達に悩みのある子をオンラインで支援…人一倍不安感強く、ストレスで多動に、家族も疲弊

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のための休校が長期化し、保育の縮小やサークル等の中止が続く中、発達に悩みのある子やその親で行き詰まりを感じる人が増えている。自閉傾向で人一倍不安感が強い上にさらに不安が高まったり、いわゆる“グレーゾーン”で支援対象でない子もストレスで多動などが強く出ることもあり、オンラインでのレッスンや相談にも乗り出す民間事業所も出てきている。

 知的障害のある子を育てる兵庫県内の女性は「毎朝身体が重く、起きられない」と苦しむ。17歳の息子は「知的レベルとしては小学1、2年ぐらい」というが、障害の特性ゆえに毎日流れるコロナのニュースを見て不安感が増大しているという。学校は休校延長で分散登校日が設けられたが、友達がバスに乗る姿を見て「何で僕は学校に行けないの?コロナにかかってるから?」「入院?」「点滴するの?」と混乱状態に。女性は「毎回、一つずつ丁寧に訂正して、落ち着かせてやってはいますが、普通の人より先が読みにくく、悪い想像が膨らんでしまう」と話す。障害児向けの学童も利用しているが、「感染防止のため外にも出られず、DVDも一通り見てしまった。ただ感染拡大が続く中、利用を続けるのも申し訳ないし、息子の友達やママ仲間とも会ってはいけないと思うし…」と声を落とす。

 小学2年と3歳の子どもを育てる会社員の女性も、一斉休校や特別保育への移行を受けて在宅勤務になった。上の子は多動傾向があるが、特別支援の対象ではないとされ通常学級に通うが「外に出られないストレスもあって、ずっと動き回っている。マンションなので足音など下の階の人に気を遣うし、下の子も落ち着かなくてお昼寝もできず、夕方には機嫌が悪くなる。夫は在宅勤務ができない職種。仕事も進まず、もう、限界に近い」と涙ぐむ。

 緊急事態宣言発出後も、小規模で対象者が限定されている発達支援事業所等は大半が受け入れを続けている。一方で自治体等で行ってきた支援事業やサークルなどは縮小や休止等を余儀なくされており、神戸市でも総合療育センターで行ってきたリハビリや相談面接を原則延期している。

 こうした中、民間の事業所の中にはオンラインでのレッスンや相談に乗り出すところも。神戸市東灘区の「発達支援ゆず本山ルーム」では13日からビデオ通話アプリを使った利用者向けオンラインレッスンを導入。言語聴覚士の西村千織さんは「休校や保育縮小、事業の休止等で、日常の相談ごとができず保護者の不安も高まっていると感じていた。オンラインなら興味を引きやすく、表情も伝わりやすい」と話す。

 レッスンではスキンシップができない分、より視覚的に伝わる方法をと言語聴覚士らがカードでのシルエット遊びや○×の札などを新たに作り、答えだけでなく「何色?」「何の仲間?」と派生した質問も。中にはレッスン前から画面の前で待機をしてくれる子や、家の図鑑を持ってきて説明をし始める子もいたという。

 小さな画面のため「子どもの興味を継続させる難しさはある」というが、そうした場合は前半はレッスン、後半は母親ら保護者の話を聞く場に。悩みだけでなく「子どもが楽しそうにしているのが嬉しい」と話す親もいたといい、「今は友達と遊ぶことも難しく、家で子どもと1対1になりがち。誰か第三者が関わってくれることで救われる親も多いと感じる」と西村さん。別サイトでは誰でも登録すれば使えるオンライン相談(自費)も行っており、「例えば『言葉が出ない』と悩むお子さんでも、まだ様子を見ようという段階の子はすごく多い。“グレーゾーン”でもアクセスしやすい支援があれば」と訴えている。

(まいどなニュース・広畑 千春)

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