川辺で暮らしていた野良猫、雪の到来とともに保護…暴れん坊は2時間の「家出」を経ておっとりした家猫に
徳島県の吉野川の川辺で暮らしていた野良猫のポチャ丸くん。とても人懐っこい猫だったので、みんなの人気者だった。寒さが厳しくなり、雪がちらつき始めた頃、ポチャ丸くんのファンだった藤野さんは、心配になってポチャ丸くんを保護、我が子にした。
■人懐っこい野良猫
徳島県に住む藤野さんは、吉野川の川べりを愛犬のボスくんと散歩するのが日課だった。そこには3匹の野良猫がいたのだが、2匹は人の姿を見ると逃げていった。ポチャ丸くんだけは人が大好きで、誰にでもスリスリと身を寄せてきて、みんなのアイドルのようになっていたという。
藤野さんが初めてポチャ丸くんに会ったのは、2017年11月初旬。キャットフードを持っていき与えていた。
「だんだん寒くなってきて、雪が降り出したんです。この子をこのままここに置いておいていいのかと、何度かキャリーを持って見に行きました。3回くらい行ったのですがなかなか会えませんでした」
12月中旬、暗くなってから探しに行くとポチャ丸くんに会えた。「おいで、おいで」と言うと近づいてきてスリスリしたので、「一緒に帰ろう」と言って、キャリーに押し込んだという。
残る2匹の猫は、一帯の工事のためにショベルカーやブルドーザーが入ってきたので、どこかに行ってしまった。
■外に出たい一心で
藤野さんは、ポチャ丸くんが家に居ついてくれるのかどうか心配だったが、とにかく救わなければという気持が先だった。
獣医さんに診てもらうと、推定2歳くらいだということだった。
外生活が長かったポチャ丸くんが外に逃げ出さないようにケージに入れたが、ポチャ丸くんは、激しく暴れた。部屋の中に放すと窓辺に行ってカーテンを引っ掻いて暴れたり、玄関のドアを引っ掻いたり、ソファにオシッコをかけたりした。ボスの散歩に行く時、玄関のドアを開けるのを知っていて、なんとか外に出ようと虎視眈々と狙っていた。
「一度家出に成功したんですが、2時間もしないうちに帰ってきたんです。それ以来、庭に出ても、敷地の外に出ることはありません」
■ボスくんとポチャ丸くんは我が子以上
ボスくんは、ポチャ丸くんに川辺で会った時から友好的だった。
「まるで『おはよう』と挨拶しているような感じで、追いかけることもなく落ち着いていました。歩いている人たちが、『犬と猫ってこんなに仲良くできるんやな』と言うくらいでした」
ポチャ丸くんは、庭で虫や雀を捕まえては自慢げに持ってくる野性味あふれる猫で、藤野さんは「持ってこないで」と思ったが、いまはそういうことはなくなったという。野良猫が庭に迷い込んできても、怒ることもない。
「主人ひとりだったら急いで帰ろうと思いませんが、いまは仕事が終わると早く帰らないと、と気が急くんです。病気もできないと思うし、我が子以上の存在です」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)