母猫が飼育放棄した子猫 先住猫とは“ソーシャルディスタンス”を保ちながら
母猫が飼育放棄した猫、ライくんは、姉妹と一緒に保護され、先住猫レオくんのいる家庭にやってきた。レオくんとは兄弟のように仲良くなってくれると思っていたが、一緒に寝たり、いつも一緒に遊んだりするわけではなく、自由気ままに行動した。
■甘えてほしいから男の子の猫がいい
東京都の猫カフェ「猫茶屋」にいた「のりお」くんは、母猫が飼育放棄した猫だった。2015年5月10日、保護団体「のーら」がきょうだい一緒に保護したが、猫風邪がひどく、すぐに動物病院に入院した。4月上旬に産まれたので、生後1カ月くらいだったという。退院後は、「猫茶屋」で里親を探しながら家猫修行をした。
神奈川県に住む山本さんは、妹が保護したレオくんという猫を飼っていた。夫婦共働きで、留守番の時間が長いため、弟か妹になってくれる猫を迎えてあげたいと思ったそうだ。
7月、山本さんが通っていた大学の最寄り駅に猫カフェがあることを知り、まずはひとりで行ってみた。キジトラの男の子がいいなと思っていた。のりおくんと一緒に保護された猫はキジトラだったが、2匹とも女の子だった。
「甘えてほしいから男の子がよかったんです。女の子より男のほうが甘えん坊でしょう。女の子だと不妊手術をする時に開腹するので、何かあったら耐えられないとも思いました」
■先住猫とうまくやっていけると思ったが
翌週、山本さんは、夫と一緒に再び猫カフェを訪れた。キジシロの可愛らしい猫、のりおくんを譲渡してもらうことにした。名前はライくんにした。
先住猫のレオくんは、妹のところで5匹の猫と暮らしていたことがある。何事もなかったので、のりおくんが来ても大丈夫だろうと思っていたそうだ。ところが、思い描いたようにはいかなかった。
7月24日、生後3カ月くらいの時にトライアルがスタートしたのだが、保護団体「のーら」のボランティアが、家に来てすぐにライくんをキャリーから出してしまった。自由に家の中を探検していたのだが、レオくんがテーブルの上に乗ると腰が引けてしまった。「なんだこれは?」という感じだったという。
■ソーシャルディスタンス?つかず離れずのいい関係
ライくんは、我が道を行くという感じの猫で、まるでレオくんがいないかのように自由に振舞った。
「初日からケージには入れなかったのですが、布団の中に入ってきて、まるでずっとこの家で暮らしているようでした」
そんなライくんの天真爛漫な性格が良かったのか、最初は心配されたレオくんとの仲も、つかず離れず、お互いのパーソナルスペースを保つことでうまくいっているという。
「追いかけっこもするし、じゃれあうこともあります。レオの運動量が増えたように思います」
山本さんにも、夫にも懐いているが、レオくんはママ、ライくんはパパが好き。それぞれ役割分担して飼い主を癒してくれている。山本さんは、猫を2匹飼って、家の中がにぎやかになったのが嬉しいのだという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)