休館中の佐賀・唐津のホテル 毎晩、窓文字で「ファイト」、医療従事者や地元を激励
新型コロナウイルス感染拡大防止のため休館中の「ホテル&リゾーツ佐賀唐津」(佐賀県唐津市、206室)が、毎夜、客室の照明を利用した窓文字「ファイト」を点灯し続け、道ゆく人たちを元気づけている。総支配人の松浦祐美さんは「医療従事者や地元の人たちへの感謝と応援の気持ちを込め、日没から日の出まで灯しています」という。
同ホテルは1987年開業。唐津湾のすぐ目の前にあり、近くには日本三大松原のひとつ、虹の松原や、唐津城などの観光名所がある。松浦さんは「新型コロナウイルス感染拡大にともなって、2月下旬ころから予約のキャンセルが相次ぎ、以降、インバウンドはほぼゼロに。国内の観光客も激減しました。4月半ば、緊急事態宣言が全国に拡大されたことを受けて、お客さまの安全と感染拡大防止を最優先し、5月2日から、現時点では6月1日正午まで臨時休館することにしました」と話す。
電話対応の担当など一部を除き、従業員は自宅待機に。しかし一方で、スタッフの間からは「こんな時だからこそ、地元の方々のために私たちができることをやろう」、「客室の照明を利用したライトメッセージをやってみては」との声が上がったという。
「そこで、街中からよく見える松浦川沿い側の外観図をもとに、どんな文字がいいかを考えました。当初は地名の『カラツ』を入れたいとの案も出ましたが、客室照明で表現できる文字数は限られており、最終的には、みんなで元気を出してこの状況を乗り越えていきたいとの願いを込め、48室を点灯して「ファイト」という文字を描くことに。開業以来、こうしたライトメッセージを試みるのは初めてです。初日(2日)は川の対岸に立ったスタッフと無線でやりとりし、ここが明るいよ、明るくないよとか、文字がきれいに見えるよう調整し、なんとか完成に至りました」(松浦さん)
その写真をホテルのSNSで紹介したところ、「すごい!唐津もコロナに負けないでください」、「終息したら泊まりに行きたい」、「励まされた」などの声が寄せられている。窓文字の点灯は5月31日まで毎晩行う予定で、日没から日の出まで灯している。車や人の通りが少なくなり、ひっそりとした夜中にも、メッセージは静かに輝き続ける。
松浦さんは「休館中だからこそできることではありますが、医療従事者のみなさまをはじめ、さまざまな場所で日々頑張ってくださっている地元のみなさまに、感謝と応援の気持ちが少しでも届けば嬉しいです」と話している。
(まいどなニュース特約・西松 宏)