コロナに負けるな!…大雨の日、建築現場に捨てられていた姉妹猫、オンライン譲渡会で家族ができた
新型コロナウイルスの影響は犬や猫にも及んでいます。動物の感染については海外から数例の報告があるだけで、それ自体が大きな問題ではありません。ではどこに影響が出ているかといえば、家族のいない犬や猫の保護・譲渡活動です。
通常、春と秋は譲渡会イベントが多く開催される季節。でも、今は大半が中止を余儀なくされています。そうなると、単純に譲渡が進まないだけでなく、そこで集められるはずだった寄付や、チャリティーグッズ販売による売り上げもなくなってしまいます。保護犬カフェや保護猫カフェも営業を自粛したり、客足が遠のいたり…活動のための資金源を失っているのです。また、猫のTNR活動(T=Trap/捕獲し、N=Neuter/不妊去勢手術を施し、R=Return/元の場所に戻す)も控えられているため、新たな命が多く誕生する懸念もあります。
こうした事態は最終的に“殺処分の増加”という悲劇につながるかもしれません。そこで、保護・譲渡活動を行っている団体や個人が積極的に取り組んでいるのが「オンライン譲渡会」です。保護主はYouTubeなどのツールを使ってインターネット上で譲渡対象の犬や猫の動画を配信し、里親希望者はパソコンやスマホで閲覧して気になる子がいれば申し込み。その後、実際に会ったり自宅に迎えてトライアルをしたり…通常と同じルールで正式譲渡となります。
そんなオンライン譲渡会で家族ができたのは、東大阪市で保護されたシーちゃんとムーちゃん、シャム系ミックスの姉妹猫です。昨年10月、大雨の日に段ボール箱に入れられ、まだへその緒がついた状態で建築現場に捨てられていました。4匹いたそうですが、うち1匹(キジトラのキジオ君)は残念ながら天国へ。保護主さんにお葬式をあげてもらい、今はお寺に眠っています。そしてもう1匹、茶トラのトラ君は今年1月に里親さんが見つかり、残ったシーちゃんとムーちゃんが3月に開催されたオンライン譲渡会に参加したのです。
2匹はよく似ていますが、鼻の部分に黒い模様があるシーちゃんを見初めたのは、京都府向日市に住む小林さんご夫妻でした。
「実家にいた猫たちは、家の中と外を自由に行き来していました。猫は自由な生き物、というイメージがあったので、また飼いたいと思いながらも、家の中だけで生活させることに抵抗があったんです。でも、殺処分される猫や保護されている猫がたくさんいると知って、里親になろうと決めました」
里親募集サイトで開催されていたオンライン譲渡会を見て、3匹に“お見合い”を申し込んだ小林さん。すべての猫に会い、『もふもふ西宮』から参加していたシーちゃんに一目惚れしたと言います。
「ケージに入って連れてこられたとき、バチバチに目があったんです(笑)。個性的な顔もやんちゃな感じも、すべて魅力的でしたね」
実は、ご主人は猫が少し苦手だったため、里親になることはナイショにしていました。でも、「とにかく会ってみて!」とお見合いに同行してもらうと、ご主人もシーちゃんの虜に。鼻の部分の模様が“矢じり”の形に似ていたことからジリちゃんという新しい名前をもらい、今ではご夫婦にとって大きな癒しとなっています。
「ホントにかわいくて!猫を飼うのは25年以上ぶりなんですけど、仕事が終わると急いで帰るようになりました。コロナで殺伐とした世の中ですけど、ジリのおかげで夫婦そろって笑顔で過ごせています。生後5か月まできょうだいと一緒だったからか、ふとさみしい表情をすることがあるんです。だから、いっぱい遊んであげたい!猫なので、構い過ぎないように気を付けていますけどね」
姉妹のムーちゃんも同じオンライン譲渡会で家族が見つかり、ムギちゃんとして幸せに暮らしています。
緊急事態宣言が解除されても“日常”に戻るには時間が掛かるでしょう。動物に癒されたいという方は、ペットショップへ行く前に「保護猫」「保護犬」「オンライン譲渡会」などのキーワードで検索してみませんか?
(まいどなニュース特約・岡部 充代)