返還決まった神戸のパンダ…タンタン初の写真集が制作中 ファンから思い出写真募集、20年振り返る

 中国に返還されることが明らかになった神戸市立王子動物園のジャイアントパンダ、タンタン(旦旦、メス24歳)。市民やファンらの間に悲しみの声が広がる中、同園とフェリシモ(神戸市)が、来園20年を記念した初の公式写真集の編集作業を急ピッチで進めている。コロナの影響で当初予定していた7月発刊は遅れる見込みだが、ファンが撮りためた写真と同園の秘蔵写真で作られ、「タンタンへの20年間の愛がこもった、特別な写真集」と同社。写真の一部はインスタグラムでも公開中だ。

 タンタンは1995年の阪神・淡路大震災の後、神戸の人を勇気づけるために来神。写真集の企画は動物園側から「感謝とお祝いの気持ちを込めて、何か話題になることをしたい」と相談があったのがきっかけといい、「パンダ柄のサンシェードを貸し出し、駐車場をパンダだらけにする」「白黒つけるパンダ恋愛おみくじを作る」などの案の中から、「目標を設定することで、たくさんの人とタンタンや王子動物園を盛り上げたい」と「パンダの写真が1000枚集まったら写真集を発売する」に決まったという。

 とはいえ、同園いわく、タンタンは「開園時間のうち、1時間ほどしかこっちを見ないぐらいの恥ずかしがり屋」。写真が本当に集まるか不安もあったが「『恥ずかしがり屋』という性格がとってもチャーミングで、愛おしく思えた」(フェリシモ・関沙綾子さん)といい「そのかわいさが全面に出るように」と応募写真のテーマも「恥ずかしがり屋のタンタン」にしたという。

 昨年9月から応募を始めたところ、神戸や近畿圏だけでなく、全国から予想を上回る1万枚以上の応募が。「小柄で子パンダみたい」「足が短い(^^)」「お嬢様」(神戸だから?)などのメッセージも沢山添えられ、関さんも「タンタンの過ごしてきた日々をぎゅっと凝縮して見られた気がして、とっても贅沢な経験でした。本当に小さくて、手足が短くて、かわいいんです!!」とメロメロに。「ゴロゴロ寝ていたり、草むらに隠れていたり、短い手でたけのこをもっていたり、おしりに葉っぱがついていたり、どうしてそうなっちゃったの?と思うシーンも沢山。タンタンにとっては普通に過ごしている日々が、なんだかとても愛おしく感じました」とも。

 集まった写真は公式インスタグラムで公開しているが、返還が発表された19日以降は「ずっと神戸にいて欲しい」という悲しみの声のほか、タンタンの幸せを願うコメントも寄せられているという。「こんな形で注目を集めるのは複雑な気持ちですが、タンタンを愛するみなさんと一緒に、多くの方々の心に残る1冊を作りたい」と関さん。「普通の写真集とは全く違います。1枚1枚、じっくり見ていただきたいです。タンタンへの愛情を感じられる1冊です。動物園の秘蔵写真もあるので、タンタンのまだ知られていない秘密なども知ることができるかもしれませんよ」

(まいどなニュース・広畑 千春)

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