高齢飼い主の死去で保健所に持ち込まれた耳の聴こえない猫 「心を閉ざしているように感じた」けれど…
レオくんは、高齢の飼い主が亡くなった後、家族が保健所に連れてきた子だった。保健所から保護団体に連絡があり、引き出された。耳が聴こえないためか里親希望者が現れず、半年くらいシェルターにいた。鈴木さんは、引取り手が少ない猫をもらおうと思い、譲渡会で出会ったレオくんの里親になった。レオくんはハンディを感じさせなかったが、かなり甘えん坊の猫だった。
■飼い主が亡くなり、家族が保健所に連れてきた猫
白猫のレオくんは、東京都で暮らしていた一人暮らしの高齢者が飼っていた。その人が亡くなり、家族が保健所に連れて来た。保護団体ねこけんと繋がりのある団体に保健所から連絡があり、引き出されたという。
都内に住む鈴木さんは、猫を飼いたいと思っていたが、夫が猫より犬の方がいいと言うので、オリオンくんという犬を飼っていた。
2013年11月、オリオンくんのかかりつけの動物病院に行った時、近くで開催されていた猫の譲渡会に行ってみた。「いい子がいたら飼ってもいいかな、譲渡会ってどんな感じなんだろう」という気持ちで参加したそうだ。
■引き取り手の少ない子をもらう
譲渡会は倉庫のようなところでやっていたのだが、ストーブがついていても寒かった。入口近くにいた白猫を見ていると、「抱っこしてみます?」と声をかけられ、抱いてみたが、丸まったまま嫌がるでもなく、喜ぶでもなく何の反応もなかった。
5歳くらいだと伝えられたが、後日、獣医に診せると、もう少しいっているのではないかと言われた。5歳の割には若々しさに欠け、歯も汚かった。耳が聴こえないのは、遺伝の可能性があった。白猫にはよくあることだという。耳はサクラ耳だったので、誰かがTNRした猫だった。
「レオは耳が聴こえなかったのですが、身体が不自由なだけでなく、心を閉ざしているように感じました」
鈴木さんは、成猫でも子猫でもいいと思ったが、引き取り手が少ない子をもらったほうがいいと考えていた
「レオは、私が引き取らないと誰ももらってくれないんじゃないかと思ったんです。耳は聞こえず、疥癬になっていたし、手足の先は黄色くなっていて、全体に汚れていたんです」
■犬や年下の猫にも甘える猫
同月、ボランティアが家に連れてきてくれた。レオくんは、怖がる素振りも見せず、部屋を探検してにおいをかいでいた。オリオンくんに会っても平気で、堂々としていたという。鈴木さんは、それほどつらい思いをした子ではないのかもしれないと思い、安心した。被毛の汚れは猫砂によるもので、だんだんきれいになった。
レオくんは甘えん坊で、人がいると抱っこ、抱っこと寄ってくる。オリオンくんは、他の犬や猫に興味のない子だが、レオくんは、オリオンくんのお腹に少し頭を乗せて寝ていた。
オリオンくんが亡くなり遺体が冷たくなっても、火葬にするまで一日中、オリオンくんの上にレオくんが乗っていた。後に鈴木さんは、はなこちゃんというレオくんより10歳以上年下の猫を迎えたが、レオくんは甘えてくっついているそうだ。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)