高齢の女性が猫を保護して飼っていたが、施設に入所することになって飼えなくなった。急遽、地元の保護団体「湘にゃ庵」が保護、落ち着いてから里親を探した。当時、神奈川県に住む長島さんは猫を飼いたいと思っていたが、妊娠したので「いまは飼えない」と思っていた。しかし、思いがけず流産してしまった。

■高齢女性が施設に入所し、取り残された2匹の猫

茶とらんくんとあずきちゃんは、子猫の時に、横浜に住んでいたおばあさんに保護された。月齢は同じくらいだが、それぞれ別の場所で保護されたので、兄妹ではなかった。

5歳くらいになった時、おばあさんが高齢のため施設に入所。家の解体工事が目前にせまって神奈川県の保護団体、湘にゃ庵が保護したという。

茶とらんくんの顔には、外猫とケンカしたケンカ傷があった。あずきちゃんは、好奇心旺盛な猫だった。

おばあさんがいなくなってショックだったのか、湘にゃ庵のスタッフを警戒して逃げようとしたり、引っ掻いたりした。触ることはできたが、心を開くのに1年以上かかったという。

■妊娠と流産、縁あって譲渡会に

神奈川県に住む長島さんは、夫婦揃って猫が好きで、「いつか飼いたいね」と話していた。2019年4月、二人で譲渡サイトを見て、いよいよ本格的に猫を探そうとしていた時、妊娠していることが分かり、猫を飼えなくなった。しかし、妊娠1カ月くらいの時、流産して、立ち直れないくらい落ち込んだ。

「そういえば猫を飼おうって言ってたねという話になって、流産を機に仕事もやめたし、猫と一緒にいられる時間もできたので、猫を飼おうということになったんです」

譲渡サイトを見ると、飼い主を待っている猫がたくさんいたので、少しでも幸せになってくれたらいいと思ったそうだ。

■子猫には応募者が多数、でも大人猫を希望した

2019年6月、流産して2日目に近隣で譲渡会があることを知り、「これは何かの縁だろう」と思い参加してみた。

譲渡会には子猫が5匹、大人猫が3匹来ていた。長島さんがあずきちゃんをなでると、ニャンと鳴いてくれた。他の猫は怖がってケージの隅で小さくなっていたが、あずきちゃんは怖がる様子はなく、飼えばなれてくれそうだった。茶とらんは、縮こまっていた。

長島さんは、あずきちゃんの申し込みをした。

「子猫には競い合うほど希望者がいて、でも、私は保護猫を1匹でも幸せにしたいと思ったので、競い合うというのは何か違うと感じました。猫を飼うのは初めてなので、ゆったりとした大人猫のほうがなじみやすいのではないかという思いもありました」

帰宅後、湘にゃ庵のサイトを見ると、あずきちゃんと茶とらんは頼り合っていると書いてあった。譲渡会でも仲良しだと聞いていたので、引き離すのはかわいそうだと思い、茶とらんくんも引き取ることにした。

■好奇心旺盛なあずきちゃんと甘えん坊の茶とらんくん

6月、2匹のトライアルが始まり、7月に正式譲渡してもらった。

最初は2匹とも隠れてしまって姿を見せず、叫ぶように夜鳴きしていた。次第になれてきて、4日目にはチュールを食べたり、触らせたりした。

あずきちゃんは、新しいおもちゃに興味を示し、いろんなところを探検する。茶とらんくんは、あずきちゃんの何倍も臆病で、慎重は。長島さんがほうきを持って歩いているだけで逃げていくが、足に乗って甘えたり、ごはん、ごはんと鳴いて要求したりする甘えん坊だという。

（まいどなニュース特約・渡辺 陽）