知らぬ間にオンラインゲームに課金!? まだ「お家時間」が長い子供たち…ネットのトラブルに要注意
新型ウィルス感染の影響により、学校は長期の休みとなりました。ようやく緊急事態宣言が解除となり、首都圏でも分散登校が始まる予定です。しかしながら、通常の学校再開までには時間がかかり、これまでのように子供たちの在宅率は高いままでしょう。これまでもそうでしたが、家に居るとなると、主体的に勉強をするよりも、親の目の届かないところで、スマートフォンなどでゲームに興じてしまうことの方が多いかと思います。そこで気をつけたいものに、オンラインゲームのトラブルがあります。
ここ数年、ネットを介して遊ぶゲームに関するトラブルが増えてきています。国民生活センターが発表した相談事例には「携帯電話料金の明細に高額な請求があり、保護者の知らないところで、小学生の息子がタブレット端末でオンラインゲームの課金をしていた」「未成年の息子がスマホのオンラインゲームで親のクレジットカードを勝手に使って課金をしていた」というものがあります。2020年3月末現在で、2019年度の相談件数は4941件で、前年同時期の4503件より増えてきています。今年度は、子供たちが新型コロナの影響でどこにも出かけられなかっただけに、こうした相談は、さらに増える恐れがあります。
今、10代から20代の若者の間で流行っているものに、スマホにアプリをインストールして、リアルタイムでライブなどの動画が見られるサービスがあります。こうしたライブ動画サービスは、たいがい無料でみられますが、ここでは投げ銭ができるシステムがあります。投げ銭とは、ライブ配信アプリによって違いあるものの、事前にクレジットなどで、サイト内で使えるコインなどを購入しておき、気に入った人がライブを行った時に、ボタンをタップすることで、購入したコインやアイテムを相手に渡して、応援できるようになっています。路上でパフォーマンスを行う演者たちの前にあるカゴに、お金を投げ入れるのと同じ仕組みをネットで行っていると考えてよいでしょう。
センターには「クレジットの支払いに心当たりのない高額な請求があり、カード会社に問い合わせると、ライブ配信アプリでの課金だった。中学生の娘に聞いたところ、夫のクレジットカード番号を勝手に使って1回1万円ほどの投げ銭を何度もしており、ほか音楽などの購入で、数カ月で100万円以上の請求になっていた」という相談もあります。
今は、自粛の影響で観客を入れてのライブができませんので、スマホを通じたライブ配信にアクセスする人は今後も増えると思われます。つい、その場の高揚感から過度な投げ銭をすることには気をつけたいところです。
もちろん、親の同意のない未成年の契約に関しては、原則として取り消すことができます。ですが、子供が成人と嘘をついて参加していたという時には、業者に連絡しても、その事実を証明することが難しく、取り消せないこともありえます。対処法はケースバイケースですので、困った時には、まず消費者センターに相談してください。
近年は、ネットショッピングを利用する機会が多くあるかと思いますが、毎月の支払の利用明細を見るには、いちいちログインしなければ見られないために、料金の内訳を確認しない人が多くいます。また、リボ払いなどにしておくと、引き落としが一定の金額のために、高額な請求に気づかないこともあります。ですので、利用料金の明細は毎月、しっかりと確認することが大事です。
2022年には成人年齢が20歳から18歳へと引き下げられますので、未成年者の取消権が行使できないためのトラブル事案が多く発生すると思われます。オンラインでのトラブルを避けるために、親の側も子供たちへクレジットカード番号を安易に教えず、子供の利用するスマホのアプリの仕組みも理解しておく必要もあるでしょう。
◆多田 文明 詐欺・悪質商法ジャーナリスト。怪しいキャッチセールスに誘われたら「ついていく」という手法で潜入取材…だまされた体験の実況中継で話題を集める。ベストセラー『ついていったら、こうなった』は番組化されるなど、テレビ出演や講演、執筆などで幅広く活動中。あらゆる詐欺・悪質商法に精通し、日進月歩の「だましの手口」に引っかからない極意を発信している。