印刷マシンに変貌したコンビニコピー機、マイナンバーカードがあれば行政の証明書取得も可能

 流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」の今回は「コンビニのコピー機」がテーマ。コピーだけでなく、多種多様な印刷マシンに変貌し、さらには行政の各種申請などにも対応できるなど、新たな可能性をリポートする。

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 コンビニのコピー機って、近頃使った事ある人は少ないのかもしれません。

10万円が給付される特定定額給付金の本人確認の写しと口座番号の写しをコピーする影響で、久しぶりに利用が増えているものの、ペーパーレス化や家庭内プリンター普及でコンビニでコピーする人はここ10年で約半分になっています。

 そんなコンビニコピー機はコピーをするだけではなく、あらゆるモノを印刷するマシンへ変貌を遂げているのご存知ですか?

 コロナ禍では、ローソンが無料コンテンツとしてステイホームの子供の為のアニメキャラクターなどの塗り絵を展開し、約180万枚。マスクの品薄に対応した手作りマスクの型紙が約90万枚と好評を博したりしています。

 テレワークが進んだ事もあり、クラウド上の資料を印刷するネットワークプリントもコンビニ各社で1・2倍強と伸長しており、緊急事態宣言中はさまざまな用途でコピー機の利用が増えていて、継続利用が繋がりそうな兆しも見えています。

 そんな中、コロナ前からコピー機の人気コンテンツとなっていたのは、実はブロマイド印刷でした。「欅坂46」などのアイドルからアニメの「すとぷり」「名探偵コナン」など20万枚から50万枚と固定ファンがプリントし、隠れた人気利用となっていました。

 ローソンでは、6月2日より社会現象とも言える「鬼滅の刃」のオリジナルブロマイドを展開し、幅広い客層の利用が見込まれそうです。

 シールを作成できるコピー機も増えており、ますますコンテンツをプリントする需要が高まりそうです。

 マイナンバーカードは、コンビニコピー機をさらに便利にします。各種申請が簡単にできるという事で、プライバシー漏洩の懸念から取得率14・3%(2019年11月1日現在)と停滞していましたが、利便性の享受を取る人が増え、9月から実施予定マイナポイント(1人当たり買い物額の25%、上限5000円)がポイントバックされるため、普及を後押ししそうです。

 マイナンバーカードがあれば、コンビニコピー機で、住民票 戸籍証明書 印鑑登録証明書を取得できます。748市区町村、全国の約44%が参画するサービスはコンビニ1店舗あたり、の受付件数が月約15件と軟調に推移していますが、コロナの第2波予防対策として、ニュー・ノーマル(新しい生活様式)が叫ばれる中、行政の証明書の受け取りはコンビニが主流になり、「役所でも受け取りができたんだよ」って懐かしむ時代があっという間に来そうな気もします。コンビニコピー機はこれからさらなる進化が期待されます。

◆渡辺広明 マーケティングアナリスト。1967年生まれ、静岡県浜松市出身。コンビニエンスストアの店長、スーパーバイザー、バイヤーとして22年間、メーカーのマーケッターとして7年間従事。現(株)やらまいかマーケティング代表。商品開発700品の経験を活かし、顧問、講演、バラエティから報道までのメディア出演と幅広く活動。フジテレビ「Live News a」のレギュラーコメンテーター。

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