銀座三越のライオン像が巨大マスク装着で話題に…「欲しい」の声に三越ロゴ入り「人間用マスク」開発も検討へ

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が全国で解除され、手探りをしながら世の中が動き出している。東京・銀座のど真ん中、銀座四丁目交差点に面した老舗百貨店「銀座三越」(三越銀座店)では、正面玄関横にあるライオンの銅像が営業再開の5月30日からマスクを装着し、6月に入ってもその姿が現場で、そしてSNSでも話題になっている。その経緯や意図、この企画に込めた思いを担当者に聞いた。

 1972年11月に「三越創業300年」記念事業として設置されて以来、銀座を代表する待ち合わせ場所の1つとなっているライオン像。白地に赤の三越ロゴというシンプルなデザインの巨大マスクで鼻から口を覆ってからというもの、道行く人が足を止めてスマホでその姿を撮影する光景が連日見かけられている。

 ツイッターでは「マスク姿の三越ライオン可愛かった」という声も。担当者は「白と赤は三越のコーポレートカラーです。ライオンのマスクのサイズは30センチ×16センチ(紐145センチ×4本)、三越の『丸に越』のマークは直径約8センチ」という。「三越ロゴのこのマスクが欲しいです」というツイートを見かけ、記者は「人間用にも同様デザインのマスクが販売されるのか?」と気になった。さっそく担当者に尋ねると、「今のところは、ライオン像用ですが、今後検討するかもしれません」との回答。実現の可能性に含みを持たせた。

 その上で、今回の経緯を遡った。担当者は「先行して再開した、仙台三越や広島三越でライオン像にマスクを着けたところ、お客さまからご好評いただいたとの声があり、銀座三越でも着用することとしました」と説明した。

 ちなみに、都内の日本橋本店にある2体のライオン像は大正3(1914)年に誕生しているが、こちらの「先輩ライオン」はマスクをしていない。なぜ、銀座だったのか。その意図について、担当者は「銀座三越のお客さまの多くは、銀座という街に来られる皆さまです。このため、銀座4丁目のライオン像が、銀座の街にお越しの皆さまの安心・安全のシンボルとなれるようにとの思いを込めて、マスクをさせていただきました。お子さまも多くご来店されますので、皆さまにわかりやすいメッセージをと考えました」と解説した。

 さらに、担当者は「お客さまからは『可愛いですね』との感想や、『ライオンにはマスクがお似合いです』等、様々なお声を頂戴しています。また、例年『全国火災予防運動』の期間中には、ライオン像が防火服を着用して街の平和を見守り、皆さまからご好評いただいています」と付け加えた。

 銀座のほか、全国でマスクをした三越ライオン像の存在は「現在は、仙台、名古屋星が丘、広島、松山です」とのこと。さらに増えるのかと問うと、「今のところ未定」という様子。 銀座三越のライオン像がいつ頃までマスクをしているのかについて、担当者は「しばらくの間は継続させていただきます」とした。

 コロナとの共生は続く。最後に、現状や今後について同店に聞いた。

 「休業期間中は大変ご不便をお掛け致しました。この度、銀座三越は、お客さまと従業員の安全・安心を最優先に、感染拡大予防措置を講じ、営業を再開させていただきました。現在、お客さまには、(1)ご入店時の検温、(2)マスクのご着用、(3)ソーシャルディスタンシングにご協力いただいております。また、従業員も同様の取組みを行っております。これからも、お客さまの生活に寄り添う店舗であり続けられるよう、ライオン像と共に力を尽くして参りますので、引き続きのご愛顧を宜しくお願い申し上げます」

 百貨店業界に限らず、コロナ禍によってリアル店舗は逆境に立たされている。この時代を生き抜かなければという思いが「マスクをしたライオン像」には託されていた。

(まいどなニュース/デイリースポーツ・北村 泰介)

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