夏のマスク対策で水着生地マスクや水泳帽素材ネッククーラー開発で涼感アップ…マスクで水泳は?

 コロナ禍で必需品となったマスクが初夏の猛暑により、身をもって見直す必要に迫られている。夏用のマスクが次々に開発される中、水泳用品メーカーの「フットマーク株式会社」(本社・東京)では、水着の生地で製造した「フットマーククーリッシュサマーマスクSP」、さらにジョギングなどで活用できる「フットマーククーリッシュサマーネッククーラーSP」を6月から同社オンラインショップなどで販売。いずれも水を含ませて使用するのが特徴で、国内の縫製工場で生産している。実際に着用し、その使用感をリポートした。

 マスクは二層式。表地が水着素材(白)で、裏地は独自の冷感素材(ブルー、ピンク、グレーの3種類)を使う。M、Lの2サイズで価格は税込1100円。水を含ませて絞った後、振ってから装着すると涼感を味わえる。記者の場合は水を含ませてから乾くまで約5時間もクールさが維持された。通常のマスクで炎天下に歩くと汗でびしょ濡れになって不快感から外したくなるが、こちらは最初から濡れているので気にならないという利点もあった。

 同社広報室の吉河祐子さんは当サイトの取材に対して「これからどんどん暑さが厳しくなる中、マスク着用は熱中症の発生リスクも高まってきます。熱中症対策の一つとしてできるだけ冷たいマスクをご利用いただきたいという思いで企画しました。ストレッチ素材と3Dパターンを採用することでフィット感を高め、マスク内側にセンターテープを配置して呼吸しやすいスペースを確保しました」と解説した。

 実際に使ってみて「ジョギングだけでなく、プールでも使えるのでは」という発想が沸いた。何といっても、マスク生地が水着である。しかも水を吸っている。個人的な感想だが、この「水マスク」をしていると、鼻腔から脳に滑り込んで来る「香りの記憶」がプールにいる感覚と重なった。水泳にマスク…というウルトラCはあり得るだろうか。

 吉河さんは「アイデアをありがとうございます。ただ、激しい運動中のマスクのご使用は呼吸がしにくくなることが予想され、あまりお勧めできません」と見解を示し、「自転車通勤の社員がマスクを着けていて風をうけると気化熱が促進され冷たく快適ですという声があります」と補足した。

 耐久期間について「ご使用環境、お手入れ方法によっても左右されるため具体的な数字は挙げておりません。替え時としてはゴムが伸びてきた時を目安にしていただければ。水を含ませて振る場合はゴムではなく本体の端をお持ちいただき振っていただくと長持ちできます」と吉河さん。洗濯は「手洗いでお願いいたします。洗濯機のご使用は避けていただくようお願いしております。汚れが気になる場合は薄めた中性洗剤をご使用ください」と説明した。

 続いて、首に巻きつつ、口や鼻を覆うことのできるネッククーラーを試した。夏場のランニングやジョギング、屋外での作業時での使用を想定して企画されたという。そこで思い出したのが、京大iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授がランニング時の装着を提唱した「バフ」。これはブランド名で、一般的には首回りの防寒グッズ「ネックゲイター」を指す。4月時点で実際に装着したところ、マスクほど口周りのベトつき感はなかったが、さすがに夏場はつらい。頬から首にかけてポリエステル製の生地で覆われるので中はサウナ状態だ。その点を夏用に改善したのがネッククーラーだった。

 生地は2種類。口と鼻を覆う本体部分は冷感素材で、側面はメッシュ素材で通気性が向上され、気化熱効果を促して冷感効果を高める。水分を含ませてから絞って振れば何度も冷たさが持続する。首に巻くだけでなく、ランニング時のエチケットであるマスクの代用として鼻まで上げてストッパーで締めて固定してもいい。1サイズ展開で、価格は税別1400円。

 ただ、生地面積が大きいので、水を含ませると衣服の首回りが濡れる点がネックか。吉河さんは「どうしても濡らしてご使用いただくため上着等が濡れてしまうことは避けられません。できるだけしっかり絞ってご使用いただければ」。耐久性については「タオルと水泳帽子の実績ある素材を利用しており、ひと夏は十分に過ごせるご使用実績がございます。洗濯はご使用状況に応じてこまめにしていただければと思います」という。

 あと3か月近くも暑さが続くであろうことを考えると、ネッククーラーのような代用品も含め、「夏のマスク」はコロナ時代の切実な課題となる。

(まいどなニュース/デイリースポーツ・北村 泰介)

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