猫好きの家に現れたキジ猫と人が苦手なハチワレ猫、いまでは本当の兄弟のように仲良く家猫生活
ロンくんは、猫ボランティアの家の玄関に現れた。まるでそこに猫好きの人が住んでいることを知っているかのように現れ、「助けて」と訴えかけるように動かなかった。保護団体アニマルエイドが運営する猫カフェで里親の鳴海さんに出会い、人が苦手な保護猫ハチくんと一緒に暮らすことになった。
■ボランティアさんの家に現れた猫
2017年5月、猫のマーロンくんは、さいたま市の個人宅の玄関に現れた。いつまでも立ち去ろうとしない。家主は猫のTNR活動をしている人で、保護団体アニマルエイドの預かりボランティアをしたり支援者と活動していた。ただ、既に保護猫を飼っていたため新たに猫を迎えるわけにもいかず、マーロンくんはアニマルエイドが預かった。マーロンくんは、推定1歳くらいだった。
一方、埼玉県に住む鳴海さんは、独身時代、猫を飼いたいと思っていたがアパートに住んでいたので飼えなかった。
「飼えないんですけど、アニマルエイドの猫カフェが近くにあったので行ってみたんです。カフェには20匹くらいの猫がいて、さらに奥にも保護猫が30匹くらいいたと思います。こんなにいるんだとショックを受けました」
■家庭内野良猫ハチくん
やがて猫好きの男性と結婚した鳴海さんは、戸建てに引っ越し、猫を飼うことにした。
2018年2月、鳴海さんはアニマルエイドの猫カフェに行き、はかせくんというハチワレ猫とマーロンくんというキジネコを譲渡してもらった。鳴海さんは共働きのため、日中留守にしていることが多いので、2匹一緒に譲渡してもらったという。
はかせくんは野良猫の子猫で、カラスに襲われていたところを兄弟と一緒に保護されたのだが、人への警戒心が強い猫だった。アニマルエイドでもスタッフに懐かず、他の猫の陰に隠れて過ごしているような感じだった。鳴海さんのところに来た後も、1年近く家庭内野良猫のような暮らしをしていた。
■本当の兄弟のような2匹
はかせくんが一筋縄ではいかない性格のようだったので、仲良くできそうな猫を希望したらスタッフが出してくれたのがマーロンくんだった。2歳前だった。すぐに膝の上に乗ってきて、人懐っこい感じがした。名前は、はかせくんをハチくん、マーロンくんをロンくんにした。
すぐに懐くと思っていたが、ロンくんはハチくんの真似をするように夫妻を警戒した。1、2カ月は、ごはんとおやつの時だけ近寄ってきたという。しばらくすると慣れてきて、一瞬だけなら抱っこもできるように。ブラッシングが好きで、ブラシを出しただけで寄ってくる。
ロンくんと暮らすうちに、ハチくんも次第に心を開いていった。2匹は本当の兄弟のように仲が良い。「気まぐれな感じがいいんです。べたべた甘えてくるわけじゃないけど、ごはんを食べているところを見ているだけで楽しいんです」と鳴海さんは言う。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)