映画の「上映権」って知ってる? 「放映リクエスト」をもらっても、探すの大変!行方不明もザラ…
先日、日本テレビ系列で視聴者リクエスト企画として放送された映画はSNSを中心に大いに盛り上がった。一方、映画館ではこんな希望が寄せられる。「テレビで放送されたあの映画、上映しないの?」「昔観た名作観たいな…」、いわゆる上映希望。そんな前に立ちはだかるのが「上映権」だ。
「上映権」は簡単に言うと、映画館などで上映する権利だ。上映権の条件は様々。権利を無視して上映することはもちろん違反だ。そこでお客様との意見交流を定期的に行う神戸のパルシネマしんこうえんの支配人、小山岳志さんに話を聞いた。
■やっぱり多い上映希望?
同館での上映作品の基準を聞いた。「99%は上映の可能性がある作品を私が観て、上映を決めています」。上映のラインナップに偏りが出てきませんかと問うと、「当館は2本立てなので、1つは動員が良さそうなものを用意して、もう1本は実験的な映画を採用したラインナップを組むこともあります。常連さんを飽きさせない工夫は常にしてます」と語る。
お客様の感想や要望に合わせ、同館では全国でも珍しい「リクエスト募集中」という画面が幕間に流れる。上映検討中の作品をお客に見せて反応を見るらしい。さらにアンケート・作品リクエストBOXも休憩室に設置。しかし上映決定後には大変な作業が待ち受ける。それは「上映権」探しだ。
■上映権、行方不明
「上映権探しは結構大変です。作品の上映権は数年で消失するのが通例で、上映権が行方不明になった映画もザラにある。その場合はお手上げです」。上映権があっても上映料金が高額なため、断念することもあるらしい。
テレビで上映する映画も映画館で上映できるのではないですかと問うと「おそらくテレビの放送権と映画館の上映権は違うと聞いた。仮に権利があっても直近にテレビ放映された映画はいい作品でも動員も上がらないので上映しづらいですね」。
■見逃すな、国内最終上映
主に上映権は映画の配給会社とやりとりする。両者の関係性は…。
「上映料は単刀直入に聞きます。大きな声では言えませんが、会社によっては蔑ろな対応を取られたことはありますよ。“あ、この配給会社は小さな劇場に作品を貸すつもりはないなって”、そのときは諦めます」と笑顔で語る。
2019年には「国内最終上映」と題し、ジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』を上映、大ヒットさせた。小山さんは「権利が無くなれば、永久に劇場で観れない作品も今後あると思います。お客様には1回1回の上映を見逃さないで欲しい」と訴えた。
(神戸元町映画館広報・宮本 裕也)