あなたも貴族になれる?シーランド公国の伯爵位を購入した人気漫画家が話題に
戦後、1947年に華族制度が廃止されて73年。現在の日本では皇族以外に貴族階級は存在しない。しかし今、SNS上では新たに「伯爵」に叙爵された人がいると大きな話題になっている。
その人は「軍神ちゃんとよばないで」(芳文社)などの人気作品で知られる漫画家の柳原満月さん。
ただし、柳原さんに伯爵位を叙爵したのは日本政府ではなく北海の南端、イギリス南東部、サフォーク州の10km沖合いに浮かぶシーランド公国。人口4人、面積0.207平方キロメートル……1967年にロイ・ベーツ公がイギリスの旧要塞を占拠して建国した世界最小の「国家」だ。柳原さんはどういった経緯でシーランド公国の伯爵となったのだろうか。今回、まいどなニュースは特別に柳原さんからお話をうかがうことが許された。
中将:柳原伯爵閣下、今回は取材をお受けいただき誠に恐悦至極でございます。閣下がシーランド公国の伯爵位を叙爵された経緯を教えていただけますでしょうか。
柳原満月伯爵閣下(以下「閣下」):経緯というほどのものもないんですが、シーランドは爵位を普通にネットで売っていて、何年も前からずっと欲しいなあとは思っていたんですよ。
直接のきっかけは今回の新型コロナウイルス対策の給付金でした。「政府のお金で爵位を買う」っていうと一見すごいことをしているみたいでちょっと面白いな……と思い立った次第です。
中将:実に面白いと思います!しかし誠におそれ多いことですがTwitter上では一部で「給付金は国内で回してほしい」という民の声も上がっておりました。
閣下:日本国内の経済もちゃんと回したいという意志はあったので、爵位購入と同時に証書を飾る額を買ったりお祝いのケーキを買ったりしました。
中将:シーランド公国のロイヤルファミリーも閣下からの収入で日本製品買ってるかもしれませんしね。閣下のお金の使い方に口を出すのは不遜かつナンセンスだと感じておりました。
ともあれ晴れて叙爵された閣下ですが、伯爵になられたご実感はいかがでしょうか?
閣下:そうですね……日常で多少辛いことがあっても「貴族だから泣かない!」みたいにちょっと前向きになれた気がします。
中将:周囲のご友人の反応も気になりますが、そのあたりいかがでしょうか?
閣下:友達は面白半分に「閣下!」とか「伯爵!」とかすごい言ってきますね。あとシーランド公国のwikipediaページにある「爵位を得た著名人」の欄に名前が記載されたので「著名人」ってところでもいじられます。まったく貴族もラクじゃありませんよ(笑)。
中将:いじられるのは辛いところですが、ある意味PR効果もあるんですね!閣下の叙爵をきっかけに後追いで爵位を買う人が増えるかもしれませんね。
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柳原さんの語る通り、現在シーランド公国の爵位は公式ホームページ上で販売されており、費用は伯爵位が約3万1000円、公爵位が約7万円となっている(2020年6月20日現在)。日本ではこれまでに柳原さん以外にも西川きよしさんや三村マサカズさんといった著名人が叙爵されているようだし、ありきたりではない肩書を獲得する手段としてはけっして高い買い物ではないように感じる。ご興味のある方はぜひ公式ホームページをご覧になってみてはいかがだろうか。
なお現在シーランド公国を承認している国家は存在せず、国際法上もその爵位が認められていないことはご留意いただきたい。
◆柳原満月(やなぎはら・みつき)漫画家、シーランド公国伯爵。本当は女の子だった上杉謙信が周囲に担ぎ上げられうっかり戦国でのし上がってしまうというストーリーの大河4コマ漫画「軍神ちゃんとよばないで」(芳文社)で注目を集める。2020年7月7日に同作の第7巻が発売予定。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)