友人宅で野良猫が産んだ子猫…怖がりもせず自由気ままに振舞い、里親さんの心を鷲づかみに
民家の外と中を行き来していた野良猫が、家の中で子猫を出産した。その家に住む夫婦は猫好きだったので、母猫の不妊手術をして飼うことにした。4匹のうち2匹の子猫は手元に置き、残る2匹の里親を探した。夫婦の友人の信夫さんは、以前から猫を飼いたいと思っていたが、なかなか踏ん切りがつかないでいた。友人から子猫が産まれたという話を聞き、会いに行くと、1匹だけ人懐っこい子猫がいた。
■外猫が子猫を出産
石川県に住む信夫(しのぶ)さんの友人カップルは、時折家に来る野良猫にキャットフードをあげていた。部屋の中に入れてくれとニャアニャア鳴くので、中に入れることもあったという。しかし、野良猫なので、しばらくすると今度は「外に出たい」とニャアニャア鳴く。
不妊手術をしていなかったので夏頃お腹が大きくなってきて、友人は「妊娠したかもしれない」と思った。
2019年8月中旬、猫を家の中に入れていると、朝方、何やら聞きなれない声がした。見に行くと棚のすき間で4匹の子猫が産まれていたという。母猫の母乳を飲んで子猫たちはすくすく育った。
友人は忙しく、猫は好きだが飼うことはできなかった。ただ、この時ばかりは迷うことなく母猫と子猫を保護したそうだ。母猫は不妊手術をして、子猫たちはどうしようかと二人で話し合った。
■警戒心ゼロの子猫
信夫さんは、以前から猫を飼いたいと言っていたので、友人から「子猫を見に来ない?」と言われた。
「SNSで犬や猫の動画を見るのが好きで、夫にもよく見せていたんです。いつかペットを飼いたいと思っていました。でも、ペットショップで買おうと思ったことはなく、譲渡サイトや市のサイトをよく見ていました」
4年前に戸建ての家を買ったのでペットを飼える住環境になったが、家を空けている時間が長く、旅行も好きだったので、なかなか踏み切れなかったという。最後まで責任を持って飼えるのかという気持もあった。
「すごく仲の良い友人が声をかけてくれたので、いいタイミングだと思いました。生まれた時から動画や写真を送ってもらって見ていたのですが、夫が気に入った子猫がいました。私は、実際に会って選びたかったので、ひとまず会ってみることにしたんです」
信夫さんが会いに行くと、子猫たちはさっと隠れてしまった。ただ、夫が気に入っていた猫だけが目の前でフードを食べたり、自由に歩いたりした。信夫さんは、その子をもらうことにした。
残った3匹のうち2匹は譲渡。残る1匹は友人が母猫と一緒に飼うことになった。
「帰り道、車の中でずっと鳴いていたので、かわいそうなことをしたかなという気持なりました。うちの中に入ると、1、2時間テレビ台の下に隠れていましたが、その後、膝に乗ったり、身体をスリスリしたりしてきました。
■片時も離れたくない
子猫の名前は、はに丸くんにした。
「猫は怖がりで、なかなか懐いてくれないこともあると聞いていたので、時間がかかるかもしれないと覚悟していました。でも、はに丸は最初から人懐こくて、何ひとつ困るようなことはありませんでした」
はに丸くんは、仕事から帰るとスリスリするような甘えん坊。絶対に人がいるところにいるという。
去勢手術をした時、入院してケージの中に入れられたが、ひどく暴れて爪や肉球がぼろぼろになった。
「その時、どこかに預けて旅行に行くのは無理だなと思いました。はに丸を家においたまま旅行に行っても、きっと楽しめないと思うんです。人に預けてどこかに行く気にはなれません」
信夫さん夫妻は、すっかりはに丸くんの虜になっている。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)