大きな猫にいじめられていた野良の子猫を保護、増えたのはペットではなく家族だった
兵庫県に住む荒木さんは、彼女と2匹の猫と一緒に暮らしていた。二人とも猫が好きで、古民家を猫のために改装するほど猫愛にあふれている。ある日、彼女が子猫を見つけて、「子猫がいる」というLINEを荒木さんに送ってきた。荒木さんは、「きっと飼うことになる」という予感がした。
■溝の中で鳴いていた子猫
兵庫県に住む荒木さんは、2019年5月25日、パートナーの女性と2匹の保護猫、うみちゃん、そらくんと一緒に暮らし始めた。猫は、2016年6月に荒木さんが自宅ガレージで保護した猫だったが、仕事で家を空けることが多いので彼女に預けていた。
ちょうど1年後、2020年5月25日、仕事からの帰り道、パートナーの女性から「ガレージの近くの溝で子猫が鳴いている。どうしよう」というLINEが来た。
「どうしようと言っても、猫好きの彼女のこと。おそらく家に上げるだろうと思いました。しかし、子猫なので近くに母猫がいるかもしれないと思い、ひとまず『しばらく様子を見たら』と返信したんです」
■何も言わなくても「飼う」と決めていた
荒木さんが帰宅すると、案の定、彼女は子猫をダンボール箱に入れ、ガレージに置いて待っていた。
「いったん買い物にいったそうですが、帰ってくると大きな猫がそばにいて、いじめられているようだったので保護したそうです」
荒木さんは彼女と一緒に子猫をお風呂に入れたが、大量のノミがついていた。
「飼う、飼わないと彼女と話し合ったわけではありませんが、二人とも暗黙のうちに飼うと決めていました。野良猫が不幸だとは思いません。それはそれで暮らしていけたらいい。ただ、怪我をしたり病気だったり、行き倒れていたりしたら助けないわけにはいきません」
猫を2匹飼っていたので、病院に連れて行くまでは家の中に入れるわけにもいかず、中庭の屋根のあるウッドデッキにケージを置き、その中に子猫を入れた。
■猫は大切な家族
翌日、動物病院に連れて行き、ノミ取りや健康診断をしてもらうと、生後1カ月くらいだった。名前はちび子ちゃんにした。
先住猫のうみちゃん、そらくんは、元気いっぱいに動き回り、無邪気にじゃれついてくるちび子ちゃんに戸惑っていた。嫌がるわけではないが、どう扱っていいのか分からないようだった。いまでは絡まれても好きなようにさせているという。
「猫は血がつながっていなくても仲良くなれる。それって素晴らしいですよね。一緒にいる姿を見るのが楽しみです」
「彼女は人も猫も分け隔てなく優しくできる、素晴らしい人だと思います。彼女と猫がいたら、嫌なことでも忘れられます」
2人にとって、猫はペットではなく一緒に暮らす家族なのだという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)