静岡の女子大生殺害現場から報告…一方的好意から殺意に変わった容疑者の動機は?小川泰平氏が解説
静岡県沼津市の路上で近くに住む大学生・山田未来さん(19)が刃物で刺され死亡した事件で、殺人容疑で送検された同じ大学に通う堀藍容疑者(20)が容疑を認め、山田さんに対して一方的に好意を抱いていたとの趣旨の供述をしていることを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は3日、当サイトの取材に対して、ストーカー的な下準備を経た犯行と推測し、強い殺意を持った残酷な手口から「卑劣で凄惨な事件」として容疑者の動機に注目した。
6月27日午後1時20分ごろ、山田さんがアルバイト先から帰宅途中、待ち伏せしていた堀容疑者に襲われた。捜査関係者によると、襲撃には包丁が使われ、堀容疑者が同県三島市の自宅から事件当日に持参してきたことも判明した。同級生によると、2人はともに三島市にある日本大国際関係学部の2年生で、同じ国際教養学科に所属していた。
小川氏は「容疑者は女性に馬乗りになり、腹部を8か所、頸部(首)を2か所、刺していました。非常に強い殺意があったと分かる。また、容疑者は犯行日前日にも付近で目撃されている。アルバイトからの帰宅を待ち伏せ、凶器も準備していることから、強い計画性があると言える」と解説した。
さらに、同氏は「私も現場を取材しましたが、その手口は『凄惨』というより、もう尋常ではない、『そこまでやる必要があるのか?』という残酷なものでした。容疑者は両腕を血だらけにしながら、警察が来るまで現場にいたということで、その動機解明が待たれます」と付け加えた。
小川氏は7月2日から3日にかけて事件現場に赴き、被害者の自宅周辺などを取材した。「山田さんのご自宅周辺の住民に聞くと、みなさん、口をそろえて『素直でいい子だと言っていました。山田さんは自宅から3キロほど離れたコンビニでアルバイトをしていましたが、仕事先には車で行っていたようです。襲われた現場は、自宅近くにある幅員2メートル足らずの未舗装の路地でした。帰宅前に、車をどこに止めたかは分かりませんが、襲われた時は車から降りていたことになる。その辺の詳細はまだ分かっていませんが、容疑者が待ち伏せをていたことは間違いない」と解説した。
事件の背景として、小川氏は「山田さんは今年1月からインターネット上に自分の名前など個人情報が出されているといった内容の相談を警察にしていたようです。『電話番号を変えたら』などと防犯指導を受けたようですが、その後は特に対応はなかったようです。容疑者の名前も出てはいなかった」と説明した。
小川氏は「事件発生直前の27日午後1時10-15分ごろにも、若い男の不審者が現場付近にいたという地元住民の目撃証言があります。堀容疑者と同一人物とは断定できませんが、その前日にも不審者が目撃されており、容疑者であるのなら、バイト先から被害者の帰宅時間を確認していたことも考えられます。周囲は、みかん農家が多く、襲われた昼過ぎの時間帯は、みかん畑に出ており不在の家が多かったようです」と明かした。
小川氏は「近所の人も『刺されるような人ではないし、そんな被害に遭うことは考えられない』と言っていました。堀容疑者は同じ大学で山田さんのことを知っていたが、それは一方的なもので、これまでにも待ち伏せなどのストーカー行為があったことは明らか。好意が殺意に変わっていった心理など、今後、動機について詳しく調べていくことになるでしょう」と指摘した。