自動精算機で精算したらお釣りに「5角」が…? ある駐輪場で起きた珍事、理由を探ってみた

 キャッシュレス推進が叫ばれてはいても、まだまだ硬貨にお世話になることも多い毎日。自動販売機や自動精算機でも大抵必要です。そんな中、ある駐輪場で500円玉を投入した高校生に起きた珍事がツイッター上で話題を呼びました。

 今月1日「駐輪場で500円払ったらお釣りで5元出てきたんだがwwwwwwガチワロタ」とツイートしたのはこんすら(@Konsura77)さん。投稿直後から続々とリプライが寄せられ、「5元」ではなく10分の1の「5角」と判明。さらに「マジかww中国元がお釣りww」「なんで」「中国でも中々見ないやつですよ(笑)」という声も寄せられ、いいねの数は2.5万を超えています。

 こんすらさんによると、「5角」硬貨が出てきたのは、駐輪場の精算機。料金は110円だったため、500円玉を投入したところ「100円玉が3枚と50円玉が1枚10円玉が4枚でなぜか5角も付いて来ました」と振り返ります。

 この5角硬貨、「見た目は少し古めでしたが、2011と書いてあり、重さは10円玉とそんなに変わらない感じでした。大きさや色は十円玉に似ています」とか。3日のレートで換算すれば7.6円です。

 「機械が古かったのでは?」という声もありましたが一体なぜ…ということで、自販機やATM、精算機などの製造事業者でつくる一般社団法人「日本自動販売システム機械工業会」に尋ねてみることに。専務理事の恒川元三さんによれば「自販機も自動精算機も、紙幣や硬貨を判別する性能はATMと同レベル。機械は適宜最新のものに交換を進めていますが、現在使われている機械で偽硬貨や他国の硬貨を本物と誤認する可能性はほぼありません」と断言します。

 さらに「自動販売機や自動精算機には、お釣りとしてどの硬貨や紙幣を何枚出したかセンサーで確認する仕組みが内蔵されている」といい、「今回の場合、釣り銭は正確に出ています。おそらく前に使った方が間違ったか故意にか入れた5角硬貨が機械にはじかれ、そのまま返却口に残っていたのでは」と推測します。

 そもそも、自販機や精算機の歴史は、偽硬貨や偽紙幣との戦いの歴史。「ずいぶん昔には子どものいたずらもありましたが、現在は精度が飛躍的に上がり、例えば硬貨なら材質や寸法、質量などで判別しています」と恒川さん。かつては日本の500円玉と同じ白銅製でほぼ同じ寸法だった韓国の500ウォン硬貨を削って使う被害が相次いだため、国は2000年にニッケル黄銅製の現500円硬貨を導入。現在は偽硬貨による被害は出ていませんが、2021年上期には将来に向け、新技術のバイカラー・グラッド(2色3層構造)や世界初となる縁の「異形斜めギザ」など、技術の粋を極めた新500円硬貨の導入が決定し、業界でも現在、それに対応すべく機械の更新を急いでいるところだといいます。

 ちなみに、以前、まいどなニュースでもご紹介した「穴ずれ」の50円玉については「材質と質量、寸法は通常と同一のため、判別は難しいでしょうね」(恒川さん)とも。

   ◇   ◇

 ちなみに、中国では国を挙げてキャッシュレス化を進めており、硬貨を使う人も減少。物価の上昇もあって、こうした低額の硬貨は見かけることも珍しくなっているといいます。さらに2019年には第5世代の人民元紙幣と硬貨が発行され、5角硬貨もデザインや材質を変更し、色合いも白色に変わったそうです。梅の花が描かれた1991年版の5角硬貨はコレクターの間で高値で取引されているのだそうですが…今回の硬貨の裏側(表側?)に描かれているのは蓮の花。1999年に導入されたもので、オークションサイトの取引価格も数十円、というところでした。

 とはいえ、メーカーや造幣局の努力で実害もなく、ネット民の想像を膨らませてくれた今回の出来事。こんすらさんは「精算機から5角が出てきた時もビックリしましたが、それ以上にここまで話題にして頂いたことに驚いています」といい、「人生でこんなことがある人は少ないと思うので、何かに使ったり、売ったりせずに、残しておきたいと思ってます」と話してくれました。

(まいどなニュース・広畑 千春)

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