「子どもたちに命の重みを知ってもらいたい」獣医師が実体験を通して命の尊さを語る「オンライン教室」がスタート
猫の不妊去勢手術専門の動物病院Happy Tabby Clinic(ハッピータビークリニック)を運営する橋本恵莉子獣医師。保育園や小学校、イベント会場で「命の教室」を開催し、子どもたちに「命とは何なのか」分かりやすく伝えてきました。しかし、新型コロナのあおりを受けて教室開催が難しくなり、オンラインで開催することにしたそうです。
■「命の教室」って何?
--命の教室では、保育園に通う小さな子どもたちも対象にされていますが、何を伝えたいのでしょうか。
橋本恵莉子獣医師(以下、橋本獣医師) 私は猫の不妊去勢手術専門のクリニックをしています。きれいごとばかりではなくて、時には身ごもっている母猫の堕胎手術をすることもあります。辛い過去を背負った猫に出会ったり、様々な困難を経験されているボランティアさんのお話を聞いたりします。そうした体験をしている獣医師だからこそ子どもたちに伝えられることがあると思うんです。
すぐに全部を理解することはできなくても、命の教室で感じたことは子どもたちの心の中に残ります。将来、動物をいじめたり、棄てたりするような大人にならないよう。また、自分の友達や両親、親戚の方にまで、私ほ教室で聞いたこと、感じたことをお話して広めてくれたらという願いを込めて教室を続けています。
■アフターコロナの新しい試み
--コロナ以前も命の教室を開催されていましたね。
橋本獣医師 4月の新学期から、さらに活動の場を広げるために小学校や幼稚園、保育園に広報活動に回ろうと思っていたのです。でも、新型コロナの感染拡大で、みんなで集まって顔を見て授業をするのは難しくなりました。
小学校も保育園も、やっと通常授業がスタートしたばかりで、遠足や運動会などのイベントは軒並み中止になっています。残念ですが、そのような状態では、命の教室開催は当分の間見込めそうにありません。子どもたちと対話しながら生の声を届けられないのは残念ですが、Youtubeで「命の教室」オンラインをしようと思い立ったのです。
第一弾は、絵本にもなっている「お母さんのらねこのお話」の紙芝居と、このお話にまつわるメッセージを公開しました。
■今後の公開予定
--第2弾以降の予定は?
橋本獣医師 1コマ当たり10分程度の動画を少しずつ作っていく予定です。ぜひ、たくさんの子どもたちに見てもらえたらと思っています。
私たちは、猫問題は社会問題だと捉えているので、3つの目的を持って活動しています。ひとつは、「猫の不妊去勢手術の無償化を目指す助成金基金の構築」です。こちらは伊藤園さんの寄付型自販機を設置し、ドリンク代の5%を寄付金として受け取ります。クリニックの前にも設置しているのですが、同じ思いを持って設置してくださる方を増やして不妊去勢手術の無償化を実現したいと思っています。
ふたつめは「不妊去勢手術の普及とTNR活動への理解を広めるための啓発活動」。もうひとつ柱としているのが、「子どもたちへの道徳教育Humane Education」で、「子ども命の教室オンライン」はアフターコロナの新しい試みです。全国の人に見てもらえるのも魅力のひとつです。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)