レジ袋有料化のタイミングで見直される「エシカル消費」…環境に配慮して今年のトレンドに
流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」の今回は「エシカル消費」がテーマ。エシカルとは「倫理的な」といった意味があり、人や社会・環境に配慮した消費活動である。エコ意識に裏打ちされたコンビニのレジ袋有料化を背景に、渡辺氏が「今年のトレンド」というエシカル消費について解説する。
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7月1日から、全ての小売業で一部環境に配慮したものを除き、プラスチック製レジ袋有料化が義務化されました。接客の試行錯誤は続いていますが、年間累計175億人弱が利用するコンビニが有料化対応した事により、一挙に脱プラスチックの意識が醸成され、エコ意識が高まる行動変容の大きなきっかけとなりそうです。
セブンイレブンでは有料化に先駆けてマイバック利用が少ない男性をターゲットに「エコバックになるハンカチ」を販売。男性のマイバックの持ち歩きを促進し、売り上げも好調のようです。
脱プラ意識の高まりは他の商品にも広がりを見せています。ファミリーマートでは一部のヨーグルト飲料6種類の容器を紙に変更し、プラスチック製容器と比較して、1本あたり約13グラムのプラスチック使用量の削減、年間約610トンのプラスチック削減となる予定です。
ファンケルは、ローソンで販売する化粧品7種類をプラスチック製からローソン専用の紙パッケージに変更。化粧品を含む全てのカテゴリーに脱プラの波が広がっていきそうです。
脱プラに限らず、買い物をするのであれば普通の商品ではなく、環境や社会・地域に配慮した商品を購買するという「エシカル消費」が今年はトレンドになりそうです。
筆者が13年前のローソンバイヤー時代、ネイルアーティストの草野順子デザインの貝印ヘアアクセサリーブランドを立ち上げ、ラオスの小学校建設に1品販売ごとに2円寄付する企画を実施して売り上げを伸ばしました。
エシカル消費は、各企業の中長期的なブランディング好影響を与え、ロイヤルユーザー育成に寄与します。後任担当が店舗への利益還元を優先して展開は終了しましたが、時代が少し早すぎたのかもしれません。
100円ショップやビニール傘、ファストファッションなど短期的な利用を想定した低価格商品がデフレ期に便利な事もあって一般化しましたが、レジ袋有料化のこのタイミングは、使い捨て感覚の商品の消費が見直されるキッカケになるのかもしれません。
◆渡辺広明 マーケティングアナリスト。1967年生まれ、静岡県浜松市出身。コンビニエンスストアの店長、スーパーバイザー、バイヤーとして22年間、メーカーのマーケッターとして7年間従事。現(株)やらまいかマーケティング代表。商品開発700品の経験を活かし、顧問、講演、バラエティから報道までのメディア出演と幅広く活動。フジテレビ「Live News a」のレギュラーコメンテーター。