中国出身の焼肉姉妹が「肉に捧げた青春」 焼肉店開店直後にコロナ禍…救ったのは祖母秘伝のタレ

 コロナ禍で経営が危ぶまれる飲食店は少なくありません。中国で生まれ、日本に留学後、焼肉に魅せられた中国出身の姉妹が昨年12月に開いた焼肉店「カンテイポウ」(兵庫・西宮市甲子園口)もピンチに陥りました。それを救ったのは祖母秘伝のタレ。もちろん、ランチに力を入れたり、アイデア豊かなメニューを出すなど、コロナ時代に生き残りをかけて奮闘中です。

■祖母の味を大切にした焼肉店

 中国出身で韓国系の姉妹は日本に憧れ、2人とも留学し、日本語を学ぶことになりました。卒業後、妹のシンシンさんは飲食業の仕事に就いたのがきっかけで肉好きに拍車がかかり、本場韓国ソウルで肉料理修業をするまでに。

 「私の青春は肉に捧げてきました。小さいころ祖母が作ってくれた焼肉の個性豊かで美味なタレの味を思い出し、本格的に勉強したくなり、韓国・ソウルで修行をすることにしました」

 帰国後、シンシンさんは日本人と結婚した姉の立田淳子さんと一緒に、夢だった焼肉店を出すことにしたのです。姉は社長業に就き、シンシンさんが厨房を受け持つことになりました。それが「カンテイポウ(姜大炮)」です。ちなみに店名のカン(姜)は名字。テイポウ(大炮)はエネルギッシュのような意味もあるとか。

■夢いっぱいのスタートを切った直後にコロナ

 ところが、オープン直後に新型コロナウイルスが感染拡大。ついには「緊急事態宣言」が出され、12月に開店したばかりの「カンテイポウ」も一時休業に追い込まれたのです。

 この先どうなるか、姉妹は不安な2カ月を過ごし、6月2日にようやく再開。「一番の気がかりはお客様が来てくださるかでしたが、私たちにできることは美味しい焼肉を皆さんに提供することです」と姉妹は異口同音に思いを伝えてくれました。再開後、コロナ対策の消毒はもちろん、新たにランチをはじめ、10種類以上のテイクアウト弁当を提供しています。

 カンテイポウの美味しさの秘訣は味わったことのない特製ソースと、秘伝のタレです。大きな器にキャベツやタマネギなど新鮮な野菜がたっぷり入った特製ソースはインパクト大です。

 焼き上がった肉をこのソースにつけて食べるのですが、飲み干すお客さんが続出するほど。ソース自体、ニンニク、生姜、果物、漢方(甘草等)などの材料が入っていて健康にもよさげだからでしょうか。

 祖母伝来の秘伝のタレも見逃せません。これは果物、野菜20種類以上を使い、2時間以上煮込んだもので自然の甘さや旨みが凝縮され、お肉の味わいをさらに引き出してくれます。聞けば、漬け込み後、最大72時間熟成させているといいます。

 また、炭火焼き台も韓国から直輸入しているとか。そして、ピアノ線ほど細い網にも目を見張ります。煙に関してはダクトが上から降りて来るタイプを採用。肉に青春を捧げたとあって、細部にこだわっています。

■口コミで広がる、オリジナリティ豊かな焼肉

 人気メニューのひとつが名物「肉毛布」(味付け薄切りカルビ)です。炭火でしゃぶしゃぶするように軽くあぶる程度に焼いた後、野菜などを巻いて食べるのですが、柔らかくて、口の中では肉汁がジュワーとあふれでてきます。

 「ドラゴン上ロース1本焼き」「壺漬けハラミ」「和牛壺漬けIPPONカルビ」など見た目もユニークなのが一連の「壺漬け焼肉」です。12時間煮出した牛骨スープがベースの漬けタレに24時間以上、肉をじっくり漬けているのが特徴です。

 夜のコースは3000円(税込)~。ランチは880円(税込)~。テイクアウトの焼肉弁当は850円(税込)~。遊び心ある企画も打ち出し、「ファンクラブ会員」(入会金500円を1回払うだけ)は、夜に食事をするごとに毎回ビール1杯目が無料サービスで、お連れも同様の特典が受けられるとか。

 「元気が出るお肉で、コロナも夏の暑さも乗り切りませんか」と語る焼肉姉妹の奮闘が今日も続いています。

(まいどなニュース特約・八木 純子)

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