西宮神社で8月に能楽の公演とライブ配信を実施 コロナ禍を乗り越え世界に発信
毎年1月10日に行われる十日えびすの「開門神事福男選び」などで知られる西宮神社(兵庫県西宮市)で8月10日、能楽「羽衣」が初めて上演され、その舞台が全世界に向けてライブ配信される。新型コロナウイルスの影響で予定していた全公演が延期になっている西宮能楽堂(同市)が、同神社に提案して実現。関係者によると、能楽のライブ配信は、コロナ禍を機に生まれた新しい試みとして注目されているという。
「全世界に日本の伝統芸能を発信することに大きな責任を感じています」
同能楽堂を運営する日本伝統芸術文化財団の代表理事で、シテ方能楽師の梅若基徳さんは言う。
コロナ禍により、同能楽堂は5月末まで閉館を余儀なくされた。現在は通常営業に戻っているものの、予定していた公演は8月分まで全て延期になっているような状況という。
梅若さん自身、舞台で公演するのはおよそ半年ぶり。公演ができない期間について「いつでも舞台に立てるよう備えていたつもりだが、モチベーションを保つのは本当に大変だった。人の前に立って初めて成立する芸能なのだとあらためて気づかされました」と振り返る。それでも梅若さんは「これだけ長く公演できない期間は、戦時中を含めても前例がないと思う」とした上で、「このマイナスをプラスに転じ、いっそ生まれ変わるような気持ちで臨みたい」と意気込んでいる。
西宮神社には百太夫神社があり、芸能の祖神として祀られている。このため西宮神社側も企画には前向きで、今回の公演を「第1回西宮・伝統芸能の夕べ」と銘打って積極的にPR。「能楽を皮切りに今後も様々な伝統芸能の公演を開催していきたい」としている。
会場は拝殿前の特設舞台。8月10日19時開始。2部構成で、第1部は梅若さんと西宮市長の石井登志郎氏、西宮神社宮司の吉井良昭氏の3人によるトークを実施。第2部で「羽衣」を上演する。終演は20時15分頃の予定。
チケットは2000円。販売サイト「LivePocket」で7月20日10時から8月10日の当日17時まで取り扱う(別途システム手数料100円)。詳しくは動画サイト「神戸TV」で。
(まいどなニュース・黒川 裕生)