段ボール箱に入れて捨てられていた子猫たち 実家で3匹育て祖母に2匹譲るも…別れは辛かった
職場の人の家に子猫が捨てられていた。まだ生まれて間もないようで、目も開いていなかった。群馬県に住む萩原さんは5匹のうち3匹を引き取った。最初から2匹は祖母に譲渡する約束をしていた。子猫用のフードを食べられるようになった頃、祖母に子猫を渡したが、すっかり情が移っていた母親は泣いた。
■真夜中に捨てられていた猫
2020年4月30日、群馬県に住む萩原さんが勤める会社では、生まれて間もない子猫を囲んで、ちょっとした騒ぎになっていた。職場の人の家の敷地内に段ボール箱が置いてあり、中には5匹の子猫がいたのだ。まだ目も開いていないような子猫たちを誰かが捨てていったのだ。親猫はどこにいるのか分からなかった。
子猫たちは鳴いていたが、目は閉じたままだった。お湯で濡らしたタオルで目ヤニをふいてやると少し目を開けるが、また閉じてしまった。同僚が猫用ミルクを買ってきて飲ませようとしたが、うまく吸うことができず哺乳瓶を嫌がって顔を背けた。
「このままでは死んでしまう。誰か飼えないか」という話になった。萩原さんは猫が好きだが、アパート暮らしなので飼えなかった。実家の母親に相談すると、祖母が2匹、実家で1匹飼おうということになった。残る1匹は上司に、もう1匹は母親の職場の人に譲渡することになった。
■ウシちゃん、サビちゃんと別れた日
萩原さんの父親が動物病院に3匹の子猫を連れて行き、育て方を教わった。その日から萩原さんと母親が代わる代わる24時間体制でミルクを与える日が続いた。母親は、初めてミルクを与えて育てることに喜びを感じたようで、「大変だね」と言いながらも「人間の子育てみたいね!」と楽し気に言った。ミケ猫はミケちゃん、ウシ柄の子はウシちゃん、サビ猫はサビちゃんと名付けた。
生後2カ月くらいで子猫用のフードを食べられるようになった頃、子猫を祖母に渡した。どの子を残してどの子を祖母に譲渡するのか、子猫の性格を考えて萩原さんと両親は何度も話し合ったという。寂しがり屋のサビを1匹にはできないので、サビちゃんとウシちゃんを渡すことにした。
「祖母は昔から家に来る猫を可愛がっていて、猫がいない生活を寂しがっていたんです。軽度の認知症の祖父にとっていい刺激になるのではないかとも思いました。母はサビやウシと別れるのが悲しかったのか、あまり長く一緒にいると別れるのが辛くなる、手離すなら早いほうがいいと言っていました。2匹を祖母に渡して帰ってくると泣いていたのを覚えています」
■3猫3様
実家で何の前触れもなく1匹になったミケちゃん。2匹がいなくなった夜だけは、母親が寝室に行こうとすると、ケージの中から手を出して「行かないで」とでも言うようにものすごく鳴いたという。翌日、1匹で遊ぶことにとまどってきょろきょろしていたが、その日のうちに1匹で遊ぶようになったそうだ。
祖母の家も近くなので、萩原さんは週に一度は2匹の様子を見に行くが、元気に走り回っているという。
きょうだいだが3猫3様、ウシちゃんは3匹の中で一番大きくて活発、猫プロレスも強い。サビちゃんは一番小さくて寂しがり屋。じゃれ合っていて負けそうになると、すぐに助けを求めて鳴くという。実家に残したミケちゃんはウシちゃんの次に大きな猫だ。人が座っていた椅子に勝手に座って偉そうな顔をしているので、「姫」と呼ばれるようになった。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)