避妊手術をしていない母猫から産まれた5匹の子猫 「早くもらって」と急かす飼い主…子猫たちの運命は?
都心部では猫を家の中で飼う、避妊手術をするといったことが周知されてきたが、地方に住む高齢者の場合、避妊手術をしないで家の中と外を自由に行き来させることがある。避妊手術をしないので子猫が生まれてしまうことも少なくない。兵庫県に住む前田さんは、5匹の子猫の里親を探してほしいと母親を介して相談を受けた。
■保護活動をしているボランティアではないけれど…
前田さんは4匹の保護猫を飼っていた。4匹もいるので、「野良猫を拾ったんだけどどうしよう。もらってくれないか」と相談されることもあった。しかし、前田さんは保護活動をしているボランティアではない。相談に乗れることもあるが…「冷たいかもしれませんが保護をすると言う事は責任にも繋がります。私も相談された全ての猫を保護、引き取る事は出来ません。なのでとりあえず病院に連れて行き、検査や健康診断をして、それから今の時代、ネットが普及してるので里親掲示板やSNSで探す事も出来る!そのお手伝いはいくらでもするし出来る!と相談者には答えます」と言う。確かに里親を探す手伝いをすることはできるが、すべての猫を前田さんが保護できるわけではない。
2017年6月28日、母親の知り合いのところで5匹の子猫が生まれた。望んで出産させたわけではなく、避妊手術もせず家の中と外を自由に行き来させていたら妊娠してしまったのだという。母親を介して相談された前田さんは、「とりあえず乳離れするまでは母猫と一緒にいさせて」と言った。母猫は家の中で母乳を飲ませて子猫を育てた。
■この子が一番不細工、誰ももらってくれない
母猫の飼い主は前田さんに、「大変だから早くもらって。子猫が騒がしいし、お金もかかるし!」と言った。挙句の果てには、「いつ取りに来てくれるの」とせかしたという。
「私は、5匹の子猫達の里親を探す手伝いをするが母猫を家から出さない。避妊手術をしてもらう約束が出来ないのであれば里親探しを手伝う、相談に乗る事は出来ない。と言いました。避妊手術には賛否両論があります。理解出来ない人もいます。でもその点で子猫が産まれると捨てたり酷いと川に捨てる人もいます。人間のエゴかもしれませんが、1匹でも多くの猫を保護、譲渡するのではなく、そうならない様にする事が今1番大切な事だと思います」
きっとまた子猫が生まれたと言ってくる。前田さんは腹立たしさと同時に不安に思った。そうこうしているうちに子猫たちの写真がLINEで送られてきた。鼻の周りに黒いブチ模様がある子猫がいた。飼い主は前田さんの母親に、「この子が一番不細工。もらってくれる人もおらんわ」と言っていたそうだ。その話を聞いた前田さんはカチンときて、「可愛いとか可愛くないという問題じゃない。その子、私がもらうわ」と言った。
■自由気ままな末っ子
母猫の避妊手術が終わると、飼い主は「すごく高いねんなあ」と言った。
8月21日、そろそろ乳離れできそうだという頃に前田さんは子猫を引き取りに行った。母乳で育ったので、みんな元気で、小さいがしっかりした体つきだった。4匹中3匹は既に里親が決まっていて、1匹は前田さんの友人がもらってくれた。
名前はアラレちゃんにした。
アラレちゃんは4匹の先住猫をシャーっと威嚇したが、うしまるくんは半日くらいでアラレちゃんのケージに入って添い寝した。気が強い女の子のうるるちゃんは、なれるまでに1カ月くらいかかった。
アラレちゃんは他の猫がいると近寄ってこないが、アラレちゃんだけの時に声をかけると寄ってくる。人も猫も大丈夫で、末っ子らしく甘えん坊だけど、1匹で気ままに過ごすのが好きだという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)