傷ついた1匹の子猫を保護したのが全ての始まり 猫の保護団体代表に就任

埼玉県在住の後藤さんは、駐車場でうずくまっていた子猫を保護したのがきっかけで初めて猫を飼うことになった。子猫は鼓膜にけがをしていたが、家に連れ帰ると元気になり、家族にも打ち解けた。5年前のこの子猫との出会いをきっかけに、後藤さんは猫好きとなり、今年5月1日、保護猫団体の代表に就任するまでになった。

■駐車場でうずくまっていた子猫

2015年10月15日、埼玉県に住む後藤さんは、自宅から200mくらい離れた駐車場の一角で1匹の子猫がうずくまっているのを発見した。以前も見かけたことがあったが、うずくまっていたので気になった。

「どうしたらいいのか分からず、猫を3匹飼っている妹に電話しました。触ると人間のにおいがついてしまうので母猫が警戒するかもしれない。触らず、母猫が戻ってくるまで見守ったほうがいいと言われたんです。妹は、もうこれ以上飼えないと言ったので、市内の保健センターにも電話したのですが、管轄の関係で埼玉県動物愛護センターに電話するように言われました。しかし、現地に職員が得着するまでにいなくなってしまうだろうし、捕獲したら殺処分になる可能性が高いと言われたんです」

 後藤さんは、近隣の保護団体を探して電話で相談した。団体も預かっている猫で手一杯だったが、とりあえず団体のかかりつけの動物病院に連れて行くように言われた。

■鼓膜の傷

その間、子猫は動かなかったが、近づくとシャーシャー言った。シャーっと言うたびに頭が動いて、血のようなものが見えたので、後藤さんは心配になった。車に積んでいたバケツを使い、なんとかバケツの中に誘導して捕まえ動物病院に連れて行ったという。

病院で診てもらうと、鼓膜が傷ついて血が出ていたことが分かった。子猫のいた周辺に砂利や植木鉢のかけらが散らばっていたことを獣医師に話すと、誰かにいじめられて怪我をしたのかもしれないと獣医師は言った。体重はわずか400g、生後4週間くらいだった。動物病院で落ち合った保護団体のボランティアからは、「メンバーが手一杯なので一週間くらいケージとトイレをお貸しするので預かってもらえませんか」と言われ、後からフードと猫用ミルクも渡してくれた。

■初めて飼う猫は、人懐っこい可愛い猫だった

後藤さんは子猫に「リフ」という名前をつけた。

「可愛いなと思いました。保護団体の人も『可愛いからすぐに里親が見つかると思う』と言うし、隣の人にも『可愛いから飼えば』と言われて、妹も猫を飼っていたので、なんとなく飼えるかなと思いました」

後藤さんは、どちらかというと犬派で、しかもペットを飼ったことがなかったが、リフくんを飼うことにした。

「家にリフを連れ帰った時、両親は最初『えっ!』と驚いていましたが、可愛がってくれました」

リフくんは家に連れてくるとあっという間に元気になり、おもちゃで遊んだり、廊下を走り回った。とても人なつっこい子で、すぐに後藤家になじんだという。

後藤さんはその後も猫を保護するようになった。そしてリフくんの保護するときにお世話になった保護団体の手伝いをするようになり、今年5月には縁あってその「特定非営利活動法人ねこの家」の代表に就任。「保護団体では思っていた以上に大変なことも多いが、猫をきっかけに人と人との出会いやつながりができるようになりました」と今は地域の猫を救うために奔走している毎日だ。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

関連ニュース

ライフ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス