亡くなった子の分も元気に生きてほしい…強い雨の中、草むらで保護した産まれたばかりの子猫たち
茨城県に住んでいた金子さんは、犬の散歩をしていた時に2匹の子猫を保護した。まだ産み落とされたばかりで、近くに母猫がいる可能性もあった。しかし、母猫が現れることはなく、夜には同じ場所で3匹目を保護。しかし、3匹目は生まれつき弱かったようで、数週間後に亡くなった。
■草むらの中から聞こえてきた子猫の鳴き声
2014年9月、茨城県に住んでいた金子さんは、愛犬を連れて夕方の散歩をしていた。家の近くを歩いていると、どこかから子猫の鳴き声が聞こえてきた。ミイミイという鳴き声は、明らかに子猫のものだった。金子さんは保護した猫を7匹飼っていて、さすがにもうこれ以上飼えないと思っていたので、いったんやりすごした。しかし、その日は天気が悪かったこともあり、泣き叫ぶように鳴いている子猫を放っておけなかったという。金子さんは引き返して、廃墟のような家が建つ敷地の草むらに入って猫を探した。
なんとそこには生まれたての子猫が2匹いて、1匹はへその緒がついていた。目も開いていなかったが、なぜか母猫はいなかった。「母猫が戻ってくるかもしれない」と思った金子さんは、しばらく、その場で待ってみた。しかし、20分ほどしても母猫は現れなかったという。
「母猫が現れなかったら保護するつもりでした。雨も強くなってきたので、このままだと死んでしまうと思い保護したんです」
■3匹目も発見
2匹とも身体が冷えきっていたので、急いで身体を温めミルクを飲ませた。夜になって母猫が戻ったかもしれないと思い、金子さんは再び子猫を保護した場所に行ってみた。母猫がいたら返すつもりだったが、やはり母猫の姿は見当たらなかった。金子さんは他にも子猫が残っているかもしれないと思い草むらを手で探ってみたら、3匹目の子猫が見つかった。その子猫はぐったりしていて、声をあげる力もないようだった。
1匹目と2匹目は元気にミルクを飲んだが、3匹目の子猫はなかなか飲まなかった。それでも何日かすると飲むようになり、一週間経つとみんな目が開いた。ところが、二週間目、3匹目の子猫がミルクを飲まなくなり、動物病院に連れて行くと獣医師は「もううだめかもしれない」と言った。
■亡くなった子の分も元気に育てたい
一週間後、3匹目の子猫は息を引き取った。
「みんな元気になったら譲渡するつもりでした。でも、3匹目の子猫が亡くなって、その子の分までこの子たちを元気に育てたいという思いが強くなりました。」
譲渡しないことにしたので、1匹をひまりちゃん、もう1匹をひなたちゃんと名付けた。姉妹はすくすく育ち、いつも一緒にいた。ところが、3歳になると、お互いシャーっと威嚇するようになり、すれ違うだけで猫パンチの応酬をするようになった。
険悪な状態が続いたが、2020年6月に2匹の子猫姉妹を迎えると、不思議なことにはらはらするようなケンカはしなくなったという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)