走り回っていた捨て猫の子猫が元気をなくし、うずくまる→保護 その子猫のひげは根元から切られていた
地域猫が暮らすところに、突然見慣れない子猫が現れた。ボランティアにごはんをもらえると知っている人に捨てられたのかもしれないと思った。子猫は最初のうちは元気だったが、うずくまるようになった。子猫の様子を見守っていた児玉さんは、保護することにした。
■突然現れた捨て猫
2010年10月、大阪府に住む児玉さんの家の近くに1匹の子猫が突然現れた。周辺には地域猫活動をしている人にごはんをもらいながら暮らしている猫もいるので、そのことを知っている人に捨てられたのかもしれない。子猫は悲痛な声をあげて母猫を探すように向かいの家の奥の柵を必死でよじ登り、走っているのを見た。いたずらっ子が追いかけまわしているのも見かけたので、「あんたら、そんなんしたらあかんで!」と注意した。
野良猫の母猫がいる可能性もあると思った児玉さんは、どこかのタイミングで保護するかどうか判断しなければいけないと思い、2日ほど、様子を見守ることにした。そうこうしている間に子猫は道路でうずくまるようになった。
「それまでは走り回ってうろうろしていたのですが、猫風邪をひいたようで、目ヤニや鼻水が出ていたんです。これは保護したほうがいいと思いました」
■元気だったが、うずくまるように
子猫を捕まえようと思ったが、近づくと逃げてしまった。子猫はますます元気がなくなって家の前でうずくまるようになった。「何かいい方法はないか」と考えた児玉さんは、美味しい猫用の缶詰を持って家の前にいた子猫に近づいた。子猫はしんどかったようで逃げなかった。鼻詰まりがひどく、食欲もないようで、ごはんもあまり食べなかったという。生後1カ月くらい。ひげは根元から切られていた。元の飼い主がやったのか、誰かがいたずらしたのかは分からない。
白血病と猫エイズにはかかっていなかったが、点滴や投薬で猫風邪の治療をした。食べないと弱ってしまうので、児玉さんは注射器のシリンジに流動食を入れて口の中に入れる強制給餌をした。
■先住猫に可愛がられて
名前はにゃあちゃんにした。
外にいた頃、最初は寄ってきて、抱っこする子どももいたが、子猫は子どもに追いかけ回されて人を怖がるようになっていた。一緒に暮らし始めるとすぐに懐いたそうだ。
11月、猫風邪が治り、ワクチン接種を終えたのを機に先住猫と対面。急に対面させると先住猫がびっくりするので、大きめの布製のケージを先住猫たちがいる部屋に置いてなれさせた。ナナちゃんという先住猫は、わざと尻尾をパタパタ動かしてにゃあちゃんの遊び相手になってあげたのだが、にゃあちゃんは喜んで尻尾にじゃれついた。
児玉さんによると、大人猫は相性の良しあしが出てくることもあるようだが、みんな子猫のことは守ってあげないといけない、弱い存在だと分かっているようだという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)