ハァいい湯(水)だな…?酷暑でプールに入り浸るヒグマが「脱力しすぎ」「一緒に入りたい」と大人気
連日酷暑が続く日本列島。そんな中、神戸市の市立王子動物園では、「ここ露天風呂??」と見まごうばかりに、冷たいプールに肩までどっぷり浸かってくつろぐエゾヒグマが人気を集めています。その恍惚の表情は、きょう一日を振り返るかのよう…。方やコロナ禍でプールにもなかなか行けないお客さんたちからは、「おっさん感丸出し」「ほんとうらやましい!一緒に入りたいぐらい!?」と羨望の的です。
◆平成生まれだけど「昭和の色男」の別名も…
このエゾヒグマはオスのロクジ(28歳)。同居するメスのサトエ(28歳)とともに、北海道ののぼりべつクマ牧場で生まれ、人工哺育で育てられたのち、王子動物園にやってきました。
お気に入りのプールは、毎日水道水を入れ替えてもらうそう。自撮りに一緒に収まろうと盛り上がる人たちの騒ぎを気にもせず、悠々。仰向けで片手を上げたポーズ、どこかで見たような。社交ダンスの振りをおさらいしているみたいじゃないですか?岩にアゴを載せじっと動かないこともあれば、お湯、じゃなくて水をバチャバチャとかき回してみたり。
ヒグマの亜種で、陸上では日本最大の動物でもあるエゾヒグマ。ロクジも陸に上がれば体重300キロもの大きさで、小さな子が後ずさりするほどの迫力ですが、水の中ではただただ脱力。それにしても長風呂です。「そろそろサトエに替わってあげたら?」と言われるほど。
一方で、足も長くてシュッとした見た目に、れっきとした平成生まれながら「昭和の色男」なんて言われることも。猛獣な割に目が優しく見えるのは、人に育てられたゆえなのか、お昼寝中に舌ペロしたり、サトエに甘えるような姿を見せることも。そのユルさゆえか敬意を込めてか「ロク爺」と呼ぶ人も。たまに混浴して夫婦でまったり。熱々だけど涼しげで、うらやましい限りです!
◆ホッキョクグマは氷の山にダイブ、クーラーの効いた部屋で涼む動物たちも
園内では、ほかにも水と戯れ、夏を満喫するかのような姿を見せつけ余裕たっぷりの動物たちが。
ロクジのお隣、ホッキョクグマが暮らす獣舎は、見た目の涼感度トップクラス。広い展示場に大きなプール、雪の山。29歳と高齢になったメスのみゆきのために、一年中稼働している人工降雪機が、真夏もせっせと小さな氷の粒を降らせてくれます。さすがにこの暑さで、雪山もかなり小さくなりましたが、それでも、プール後にここで転がったり、ペロペロと舐めてみたり。楽しそうで涼しそうな姿は、見る人にとっても癒やし。
カリフォルニアアシカが暮らすアシカ池も、のんびり泳いだり、浅瀬に集まってギュギュッと昼寝したり遊んだり。人間界では自粛を強いられている夏の遊びの数々を思い起こさせ、やはり、出てくる言葉は、「いいなぁ」。もう、これ以外ありません。
水と縁がある動物たちはとても涼しげでいいですが、ほかの動物たちはこの暑さ、大丈夫なのでしょうか。この時期、展示場によく掲示されるのが、「寝室との出入りを自由にしています」という案内。少しでも涼しい場所を動物自身が選んで過ごせるよう、配慮されているのです。また、レッサーパンダの中には外出禁止にされた子も。「飼育員の動きが気になってどんなに暑くてもずっと外にいて息も上がってしまうので強制的に展示中止にしました」と担当者。
人気のジャイアントパンダ、タンタン(メス、24歳)は、暑さが苦手なので今の時期はほぼクーラーの効いた屋内での展示。ライオンなどがいる猛獣舎では冷気が出るスポットを設けるなど、健康を損なわないよう工夫を凝らしています。
さらに、園を訪れた人用にもミストを園内4カ所に設置。定時放送で熱中症予防を呼びかけ、コロナ対策のマスクも、周囲に人がいない時は外すよう呼びかけ、入園ゲートでは昨年から熱中症予防のアメを配布しています。
同園は「危険なぐらい暑い日が続き、しかも動物たちも暑くてあまり動かないので、なかなかご来園をおすすめできる時期ではありませんが…」としつつ、「水辺の動物を見て涼しさを感じて頂いたり、野生の生息域から暑さが得意な動物、苦手な動物を想像して頂いたり、冬の動物の動きとの違いを感じて頂いたりと、夏の動物園にしかない楽しみ方もたくさんあります」とPR。「ぜひ、熱中症対策を十分にして、ご来園ください」と話してくれました。
週末には雨が降って、この異常な暑さも峠を越える…とかなんとか。ロクジじゃないですが、早くゆったり温泉に浸かって、夏の疲れを癒したいものですね…!
(まいどなニュース特約・茶良野 くま子)